【募集企画】東方幻想記録物語11巻 (ページ12)

今日:26 hit、昨日:1 hit、合計:3,063 hit

お楽しみはこれから　紅音ページ12

「悪魔を恐れぬ者共よ！この正体不明の弾幕悪魔(ディアボロ・エックスバレット)の力、その痛みを持って知るが良い！」

ディアボロの口上が終わるや否や空夜が、

「それぞれが順に攻撃していくターン制で、ターンは無制限。無秩序に戦闘したら本当になんでもありになってしまうから必要な措置だと思ってくれ。これで大丈夫かい？うん、大丈夫だね。じゃあ、開始」

と軽い調子で合図をかける。模擬戦が始まって一発目、最初の一言はこうだった。

「……うわ、痛ってぇ」

―――それはまず間違いない。
空夜の背中に抱きついている紅音も密かに頷く。もはや存在自体が中二病(半吸血鬼とか)である紅音ですら、ああいう事が出来たのは精々一五歳までである。精神的にまだその辺りで止まっているのか、あるいは前口上に見合うだけの実力があるのか。ディアボロがやった事を考えれば、まず間違いなく後者だ。

「兎に角、戦場では先手必勝だ。スペルカード発動、知符『ジャック・ザ・ルビドレ＿copy』！」

時間停止、と呟く空夜はどこからどう取り出したのか、大量のナイフを一瞬にして展開する。それらは美しい曲線を描いてディアボロへと向かって行く―――が、ディアボロもやすやすとは被弾しない。それどころか、余裕綽々といった風に飛んで来たナイフを投げ返している。空夜は「うん、やっぱりそうなるか」とこれまた余裕綽々で、帰って来たナイフを一瞬で消し去っていた。

「これじゃちょっと弱かったかな。すまないね、私にもまだ君を侮る気持ちが残っていたようだ」

「足元を掬われない内に気付いてくれて嬉しいやら悔しいやら。おっと、次はこっちの悪魔かな？」

「私は空夜みたいに加減も様子見もしねぇからな。初っ端から全力で行かせてもらうぞ」

「よし来た、大悪魔の力を存分に見せてもろて！」

「元からそのつもりだ。【吹っ飛べ】！」

影が発した【吹っ飛べ】という言葉―――いやいや吹っ飛べって言ったら吹っ飛ぶとかS(そんな)O(オカルト)A(ありえません)、と誰もが言うだろう。実際紅音も思った。しかし影は、『そんな常識は一八歳までに身につけた偏見だバカbyアインシュタイン』と言わんばかりに常識を超越してくる。ディアボロは、何か不可視のものに弾き飛ばされたかのように壁へと叩きつけられた。

「痛ったた……これ意外と痛いわ。特に背中、ちょー痛い。やっぱ大悪魔だね」

まあ当然のように無傷である。ディアボロはひとしきり背中をさすったのち、言った。

「さて、私の番だ」

瞬間、周囲の空気が張り詰める。