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「……」
素直に頷けば、事はあっさり進むものだ。こういう状況を私は何度も経験していて、とても良く知っている。ここで否定してどうするの?
でも肯定して、私、ちゃんと戦えるの?
一体何のために戦うの?
ぐるぐると頭の中が回りだす。分かんない、わかんないよ。だんだんと、シエラの顔が不思議そうに、きょとんとしていく。私、私は。変わりたくて、生き返って。天使と戦うために生き返らされて。いや、生き返りたいと願ったのは私で。けど、天使と戦うために生き返ったなんて知らなくて。
視界が揺れる。
具合が悪い。いろいろ、考えることが多くて。多すぎて。
そろそろパンクしそうになっていたんだ。
「――おーい!! そこに誰かいるのかーー!!?」
――誰かの一言で視界がひらける。
誰の声? 思わず振り返った。
シエラもその声に気づいたようで、二人であたりを見回していると、どこからか物音が聞こえる。
何か重たいものを引きずるような音がする。どこから?
「……あ」
「え?」
シエラに反応するより前に、足元に気配を感じた。
瞬間、左足首を勢いよく掴まれる。思ったより力強くて、突然の事に振り返るよりも前に――
「――嫌゙ーーーーーーーーっっ!!!!!?」
ガツン、と右足でつい蹴飛ばしてしまった。特に理由もなくスカートを抑えつつ、ローファーのかかとが重たいものにクリーンヒットする。
なにかにぶち当たる音と同時に、「ぐえっ」と汚い音がする。いや、音じゃない。声だ。
まさか、誰かやっちゃった!?
「カナデちゃん……」
「ご、ごめんなさい!! びっくりしてつい、……えっ」
シエラとともに振り返る。
蹴飛ばした方向には先程のロッカー。そして、頭をぶつけて気絶している――
「……森永くん!?」
――同級生がいた。
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