泣き虫ピエロとの約束 second (ページ6)

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「はぁ～」

〔ねぇ、さっきからため息ばっかだけど。どうしたの？羽奈ちゃんと喧嘩でもした？〕

ブラックコーヒーを、項垂れる晃一の目の前に置いた。

「さんきゅー…」

〔お前がね、そんなに元気ない時はね、羽奈ちゃんと何かあった時なんだよ。俺知ってんだからね〕

海は名探偵の如く、指をパチンっと鳴らす。

「…喧嘩、したわけちゃうねん。むしろラブラブやわ…」

〔…何さりげなく惚気たんだよ〕

「女の子って、大変やな」

〔ん？何が？〕

「少しでも変な男から好かれると、ほんま大変やわ。許されへん。腹立つわあいつ」

〔え、羽奈ちゃん変な男から好かれたの…？〕

「…はぁ」

〔まぁ、可愛いし良い子だもんねぇ、羽奈ちゃん〕

バッと顔を上げて海を睨みつける晃一。

〔…え？あ、いやいや！狙ってないよ俺は！同僚の大事な人を狙うわけないでしょ⁉〕

「いや、お前はやりかねん」

〔何でだよ〕

晃一はブラックコーヒーを一気飲みすると、勢いよく立ち上がる。

そろそろ休憩時間が終わる頃だ。

〔羽奈ちゃんなら大丈夫だよ〕

部屋を出て行こうとする晃一の背中に向けて、強めのトーンで優しく声を掛けた。

「おん。俺もそう思うわ」

ドアの前で立ち止まった晃一は、振り向かないまま去っていった。