希望の音2

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信五side


たつが戻って来て
すばるから検査中の話を聞いた


雅紀も我慢する事がたつの中で当たり前になってしまってるのかもって言うてた


俺も数値を軽く見させてもろたけど
あの数値なら大体の患者さんは
苦しくて検査を止めるようにお願いする人が殆ど

お願いするまではいかなくても
検査中の問いに対して苦しいっていう意思表示をする



たつは少なくとも検査中は苦しい事を伝えて来なかった



苦しい時に助けてくれる人が側にいなかったからなのかは分からへんけど

でも
検査が終わった時
すばるの名前を呼んだ事は
きっとたつにとって大きな進歩になると思う

俺らにとっても。


これからは
苦しい時、悲しい時、寂しい時
俺らが側にいるから…


もう1人やないんやで…



年齢的には
章大と亮とそない変わらへんのに

我慢ばっかりさせられてたんやろな、、
同世代の子よりも大人びとる気がする

血液検査の時やって
身体が強張るくらい苦手で怖かったはずやのに
すんなり受け入れてたし…

そりゃ、
手が掛からへん患者さんは俺ら医師にとっては
治療しやすいんやけど

心配にもなるやんか…




特に心が。




時には我慢も必要やけど、
それは甘えたり、頼ったりする事が前提として出来てる場合であって


我慢ばかりしてたら
心がしんどくなるやん…



当たり前やけど、
たつはまだ俺らに遠慮しとる


欲しい物があるなら欲しいってお願いしたらええし、

やりたくないと思ったら声に出してみればええ。


全部言われた事を受け止めるのは

周りは楽でええけど、

たつがどんどん苦しくなるだけやねんで？



全部は叶えられないかもしれへんけど、

たつの我儘を受け止める自信あるし、

その我儘に振り回される覚悟もある



やから、頼ってくれてええねんで。








「今まで、よう頑張ったな」






酸素マスクをつけて眠るたつを見ながら
そう思った

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