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その日のうちに、Aに荷物をまとめさせて。
「樹さん…？」
「ん？」
「あの、どこへ行くんですか…？」
Aの疑問には答えず、オートモービルのハンドルをとる。
わざと市場を避けて遠回りをして、市街地を抜けていく。
郊外に出て、その更にはずれの方まで走って行くと。
「…え、すごい、立派、」
大きな建物へとたどり着いて。
敷地の中へとオートモービルを走らせようとすると、
「え、樹さん、ここどこですか…？」
と不安そうな顔をしている。
専用のスペースに駐車して、ポケットから鍵を取り出すと、玄関のドアを開けた。
「別宅。」
Aを振り返ってそう告げると、くりっとした目をさらに見開いている。
「どうぞ、空き部屋ばっかだけど。」
そう告げて、Aを中へと入れた。
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作者名：月華
| 作成日時：2023年3月28日 1時
