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数日後。
買い出しの荷物が、いつもよりも多めになりそうだと踏んで、買い出し用のメモを
作ることにした私は、キッチンとパントリーをチェックしながらメモを作っていた。
「……ナニしてんの。」
いつもよりもバタバタしているのに気付いたのか、樹さんが私に声をかける。
「あ、いつもよりも荷物が多くなりそうだったので、買い物のメモを…。」
できあがったメモをのぞきこんで、樹さんが出かける支度を始めた。
「え、樹さん？」
「一緒に行くわ。」
「え、」
「さすがにこれを全部は持てねーだろ、ひとりで。」
「えでも、」
戸惑う私に構うことなく、樹さんは階段を降り始めると、
「早くしろ、行くぞ。」
と、階段を数段降りたところで、まだ戸惑っている私に声をかけてくる。
「あ、はい、」
急いで樹さんに続いて階段を降りる。
樹さんは、私が玄関を抜けたことを確認すると、そのままドアをロックして。
黙って、市場へと足を向けた。
市場に入ると、馴染みの店の旦那さんやおかみさんが声をかけてくれる。
……いつもなら。
「Aじゃないか、今日は………、」
笑顔のままかたまっている肉屋のおかみさん。
「こんにちは、今日はソーセージが欲しいんですけど、」
「………。」
「…………あの、」
「あ、ああ！ソーセージだね、どれにするんだい！？」
私の方を見ているけど、樹さんをちらちら見ているのがわかる。
支払いを終えると、私にソーセージを渡してくれて。
小さく手招きされる。
「…？」
近くまで寄ると、ひそひそと聞かれた。
「チェルシーが言ってたのはホントなのかい？」
チェルシー、というのは、私が初めて樹さんのおつかいで時計の部品を受け取りに
行ったお店のおかみさんだ。
…私に、『少佐は手が早いから気をつけろ』と忠告してくれた人。
「……えと、はい、お世話になってます。」
「少佐の家でかい！？」
「……………あーっと…ハイ。」
へぇー、と言いながらおかみさんが私をしげしげと見ていると。
「A。」
樹さんの声がする。
「あ、はい、」
「次行くぞ。それよこせ。」
「あ、すみません、」
それじゃ、と、おかみさんの方を振り返ると。
「少佐じゃねぇから。」
私のすぐそばから樹さんの声がする。
おかみさんが、「ハイハイ、」と言いながら肩をすくめているのが見えた。
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作者名：月華
| 作成日時：2023年3月28日 1時
