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普段は誰も来ることがない工房のドアをノックする音。面倒だな、そう
思いながら、のろのろと2階からの階段を降りる。
「どちらさま?」
何度目かのノックで開けたそこには。
「…あの、突然申し訳ありません。」
ひとりの女性がいて。
「こちらで、難しい修理でも引き受けてくれることがある、と…。」
…と、丁寧に布でくるまれた懐中時計を見せられた。
「……これ…、」
思わず顔を上げて、彼女の顔を見る。
父の形見です、と、彼女は悲しそうに笑った……気がした。
「田中樹少佐、ですよね、私…、」
「………森山技師の…娘さん…?」
初めまして、と小さく頭を下げた彼女は、「森山Aです」と名乗った。
「………時計、」
「…ハイ、」
「修理できるか……見てあげるから………どうぞ」
ドアを大きく開いて中へと誘導する。
「ありがとうございます、」
泣きそうな顔をしながら、Aさんは工房の中へと足を進める。
………俺と、Aの出会いだった。
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作者名:月華 | 作成日時:2023年3月28日 1時