一話 ページ2
『アンタ……いい加減にしたらどうだい?
そろそろこの屋敷から出てってもらいたいんだが』
「んな事いうなよぉ……もう一杯だけ淹れてくれよぉぉぉ」
鼻の頭を真っ赤にした男が、この屋敷の主へと引っ付く。
ベリベリっと音がしそうなほど、一気に引き剥がされたのだが…。
「なぁぁ…せんせぇ〜」
『馬鹿な酔っ払いに淹れるお茶は無いさね。
さ、早く帰りな。
家族が待ってるんだろう?』
男を無理矢理に引き剥がした ''先生'' と呼ばれた男は、心地の良いバリトンでそう言い放つ。
酔った男は軽々と持ち上げられ、ひょいと外へほっぽり出された。
ひんやりと冷たい外気に当てられ、少し我に返ったのか
「…悪かったよ……話、聞いてくれてありがとさん」
一言謝る。
『いいさ、話ならいつでも聞いてやる。
次は呑まれる前に来な。』
「やっぱり先生大好きだぁ〜…」
しかし、ピシッと口元に指を置かれる。
不意に遠くを見つめた ''先生'' の右目はいつもより一層細められていた。
「?先生…?どうかしたのか??」
''先生'' は左手に持った扇子を一度鳴らす。
『嫌な予感がするね…』
そう言い残すと、パタパタと屋内へと戻り
暫くすると再び屋外へと出てきた。
「…?刀なんか持って、どっか行くのか??」
『アンタを家まで送るんだよ
何だか嫌な気配がするからね。
今、一人で出歩いたら何があるか分かったもんじゃないさ。』
更に、こうも付け足す。
『雨も降りそうだしねぇ』
紅い色の傘を片手に歩き出す。
空にあった月は、すっかり雲に覆い隠されていた。
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海馬 香鷹(プロフ) - 刹那さん» ありがとうございます!亀更新ですが、私なりに頑張りますのでよろしくお願いします……っ! (2019年9月23日 22時) (レス) id: 9428df9cf7 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 面白かったです!!続き待ってます! (2019年9月21日 19時) (レス) id: 48a49b3a4b (このIDを非表示/違反報告)
海馬 香鷹(プロフ) - 天神人狼さん» ありがとうございます!これからもどうぞよろしくお願いします……! (2019年9月17日 23時) (レス) id: 9428df9cf7 (このIDを非表示/違反報告)
海馬 香鷹(プロフ) - ゆんさん» ありがとうございますっ! (2019年9月17日 23時) (レス) id: 9428df9cf7 (このIDを非表示/違反報告)
天神人狼 - あー………好きです(突然の告白)待ってます! (2019年9月17日 21時) (レス) id: fb4ece15fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海馬 香鷹 | 作成日時:2019年9月16日 17時