大佐の歯車 ページ13
独壱、仏蘭の国境。
三つ編みの青年が独壱の国境に近付くと「やぁ!どうしたの?」と聞かれる。
青年は軽く、友達に会いに来たとだけ告げて其処を通った。
勿論本当だ、が…
彼は自分の事を友達と思っているか否かは定かではない。
ヒトエは嬉しそうに彼に近寄る。
フリードリヒは冷たく逃げる。
「ちょっと、久々に見た友人にそれはなくない?」
「友人?お前と?…侮辱か?それは、」
辛辣な言葉にヒトエは悲しそうな顔をする。
フリードリヒはこの顔が大嫌いだった。
「お前が消えて何年になる。」
「さぁ?10年以上は経ってる事くらいしか…」
紫煙を燻らすフリードリヒ、珈琲を啜るヒトエ。
何も変わらない。
あの頃と同じだ。
「…今更、何をしに来た。」
「今更戻ってくるなんてないよ、ただ…」
「ただ?」
笑う、ヒトエは清々しいほどに、快晴の笑みを。
やはり、あの頃と変わらない。
フリードリヒはつくづくヒトエが苦手だと感じた。
それはずっと同じで、今も、きっとこれから先も…
ずっと変わらないと思う。
「ただ、君がどんな風になってるか見たくてね。」
痛々しく突き刺さる言葉にフリードリヒはヒトエを睨み付けた。
ヒトエは塀の上へ登る。
鉛色の空が重くのしかかる。
2人、あの頃は…
出会ったところは地獄だった。
天国にいるヒトエと、相も変わらず地獄にいるフリードリヒ。
奇妙な関係だった。
「あ、ここに居たんですね、探しましたよ。」
「部下さん?」
「まぁな。」
「ご友人さんですか?どうもー。」
人当たりの良い、柔らかい印象を与えるツインテールの女だ。
仕事の書類をフリードリヒに渡してさっさと立ち去った。
「じゃあね、また来るよ。大佐。」
「もう来るなよ、軍曹。」
「はは、そうやって呼ばれるのは何年ぶりだろうね。」
ヒトエは又、国境線に戻っていった。
フリードリヒは忠告として肝に銘じ、その場を後にした。
煙草は地面で燃え続けていた。
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龍巳@キチガイ - 【 】nanashiさん» こわっ、てめぇ夜道には気を付けろよこの神文才野郎 (2017年2月9日 20時) (レス) id: 3d3a9ea8a1 (このIDを非表示/違反報告)
【 】nanashi(プロフ) - 寄越せ。文才寄越せください。 (2017年2月7日 22時) (レス) id: 1572cb3dd0 (このIDを非表示/違反報告)
龍巳@キチガイ - 夜のお外だいしゅきさん» 減るわやめろ (2017年2月7日 18時) (レス) id: 3d3a9ea8a1 (このIDを非表示/違反報告)
夜のお外だいしゅき - なぜだ。なぜくれない。いいだろう別に。お前の文才はちょっとやそっとじゃあ減らないだろう (2017年2月5日 21時) (レス) id: 2500df9be3 (このIDを非表示/違反報告)
龍巳@キチガイ - 夜の空気を吸い隊さん» 名前に笑った、そして嫌だ (2017年2月5日 20時) (レス) id: 3d3a9ea8a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:龍巳@キチガイ | 作者ホームページ:ホームページの追加は禁じます。
作成日時:2017年1月31日 16時