捌拾伍肆話「対話」 ページ41
お館様side
館「……大丈夫かい?雫」
『……?何がです?お館様』
今も私の目の前でにこやかな笑顔を浮かべているであろう雫に、私は思わず声を掛けた。
私の様に真っ白な瞳は、今も世界を写しているのであろう。
その雪の様な瞳で、全てを見透かし。
──だけど、雫にとってこの世界は優しい物では無いのかもしれない。
──ふぇぇ…お館様ぁ……。
いっそ、あの子の様に遠慮なく助けを求めてきてくれたらどれだけ良かった事か。
私は鬼殺隊の当主。
その肩書きは大層な物だが、私自体に重要性はあまり無い。
それでも、私の子供達は私自身を敬い慕ってくれているが。
雫が助けを求めてくるまで、私は手を出す事が出来ない。
──お館様、もし私が世間の闇に晒される事になっても……見守ってくれますか?
……雫が望んだ事だから、私はそれを無下にする事が出来ない。
それが、酷く歯痒いのだ。
いっそ、鬼殺隊当主という肩書きを投げ出して雫をこの手で守れたならどんなに良かったのだろうか。
頬を優しく撫で、静かに嗚咽を上げる雫を抱き締める事が出来たのだろうか。
だが、現実は何処までも非情である。
私の目はもう光を捉える事は無いし、雫から近付いてこさえしなければ抱き締めてあげる事も出来ない。
雫が自分から言わない限りは、遠くから見守る事しか出来ない。
嗚呼、私はどれだけ弱いのだろうか。
……でも、こんな時位は守らせて欲しいものだよ。
館「いや、何でも無いよ。
……雫、此方へ」
『?はい……』
勘で気配を探り、感覚で雫の頭にポスリと手を乗せた。
『…………は』
館「…遠くから見守る事しか出来なくてごめんね。
私は、いつまでも雫の味方だよ」
『…ありがとうございます』
ふわりと、真っ黒な視界の中で雫が優しく笑った気がした。
◇◇◇
これ以上話を盛れる気がしなかったので、比較的短めに切り上げましたごめんなさい。
時系列的には無限列車編の直前、任務を受ける時です。
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きーねちゃん(プロフ) - みかんといちごさん» テンキュー!はいごみ収集車にぶちこむぜ☆オルァ! (2020年8月8日 0時) (レス) id: a598922371 (このIDを非表示/違反報告)
みかんといちご - きーねちゃんさん» はーい!ニクマン\(^-^ )ブンッ (2020年8月8日 0時) (レス) id: 085b083a26 (このIDを非表示/違反報告)
ハルサ(プロフ) - kiki11241さん» なる……予定です!(おい)すいません頑張ります! (2020年8月5日 20時) (レス) id: d6c0176894 (このIDを非表示/違反報告)
kiki11241(プロフ) - あれ本当に杏寿郎オチかな? (2020年8月5日 19時) (レス) id: 3664f0360e (このIDを非表示/違反報告)
きーねちゃん(プロフ) - みかんといちごさん» へいパース!僕今ならゴムの手袋を五万枚重ねてるんで大丈夫でーす! (2020年8月4日 22時) (レス) id: a598922371 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハルサ | 作成日時:2020年7月9日 18時