.2 ページ39
そこからは早かった。アズくんが実行犯達を拘束し、先輩と入間くんが私に縛られている縄を取ってくれた。クララちゃんに関しては私に抱きつき離れない。
「動けないとか痛いとことかない?」
「…お腹を蹴られたのでじんじんしますが問題ないですね」
「蹴られたん?」
「結構強く…でも昔からこういうのは慣れているので」
また不穏な空気がしたけれど入間くん達がいるからと我慢しているんだろう。両手をぎゅっと握りしめていた。
「ところでなぜ先輩だけではなく入間くん達もいるんです?」
「僕は君が残していった手紙を見て家を出ていったんやけどな、街を走ってる時三人と会って、「着いてきちゃいかん」言うてるのに「行きます」って聞かんかったから」
後ろでは入間くんが少し汗を流し此方を見ていた。
「クララちゃん、ちょっと先輩と話があるから離れて」
「ぶー!」
「すぐ終わるよ」
仕方なくといった感じてクララちゃんは離れてくれ、アズくんの元へ走っていった。
「…僕がちゃんと君のことを見てれば…こんなことにはならんかった」
「…そんなの気にしてません、だって助けに来てくれただけで嬉しいんですから」
先輩は驚いた顔をした後微笑んだ。
「…ほんま、君には適わんな、Aちゃん」
その時の笑顔が印象に残った。
___
先輩におぶられて人気があんまりないが明るい道を歩いていた。
「全く、Aちゃんは男に引っかかりすぎやで」
「いや引っかかったというか、向こうが勝手に私を」
「今回は許せるかどうか分からんわぁ」
後ろ向いてても分かる。「言い訳するな」と言っているんだ。
「あ、学校忘れてた…」
「今日は休みにしておいた、ゆっくり家で休んどき」
「…ありがとうございます」
先輩の家に着いて荷物を整理している時、ス魔ホが鳴り出した。
「今からそっちに行くよぉぉぉぉ!!待っててねえええブチッ」
「…朝からうるさい」
「理事長やな」
「はい、では私はこれで」
「…ちょっと」
先輩に手を引かれて、温かな腕に抱き締められた。
「よし、充電完了!…ってどうしたん?」
「…不意打ちはやです」
荷物を手に取り、先輩の部屋を飛び出した。
おじいちゃんに馬車で家まで送ってもらい、学校を休んだ。誘拐されたことは先輩のお母さんのお陰で伏せてもらっているが、いつバレるかひやひやしています。
「…私、助けてもらってばっかで足手まといになってる…」
自室のベッドで枕を抱えながら呟いた。
330人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アイリ - 続き楽しみにしてます! (2020年2月25日 18時) (レス) id: 9394df581f (このIDを非表示/違反報告)
アイリ - あ、ありがとうございます!面白かったです! (2020年2月25日 18時) (レス) id: 9394df581f (このIDを非表示/違反報告)
沫梨(プロフ) - アイリさん» コメありがとうございます!結婚式ですね!了解です! (2020年2月24日 20時) (レス) id: 175b7a0ad4 (このIDを非表示/違反報告)
アイリ - 夏祭り面白かったです!リクエストよろしいでしょうか?結婚式よろしくお願いします!これからも頑張ってください! (2020年2月24日 18時) (レス) id: 9394df581f (このIDを非表示/違反報告)
沫梨(プロフ) - スイカバーガチ勢野坂さん» 遅れてしまい申し訳ありません!夏祭り了解しました!!コメありがとうございます! (2020年2月20日 21時) (レス) id: 175b7a0ad4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:沫梨 | 作成日時:2020年1月5日 10時