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「…あれ指輪ってこんなに紫色のものでしたっけ」
先輩が手に取っている指輪は宝石部分で小さなキバの多い口がマンドラゴラのように叫んでいるものだった。入間くんによれば銀色で…ダイヤモンドってものがはまってるよと言っていたのだけれど…
「…綺麗やな〜」
いやいやどこが。付けるとなると怖いんですけど?
「オーダーメイドしてもらいません?この首輪と同じ金属で」
「そしたら引っ付いちゃうで?」
「…この銀色にしてください…」
「…Aちゃんが言うなら仕方ない、おねーさんこれくれる?」
店員さんが2つの指輪を箱に入れている最中、私は店内を回っていた。
「…こんなに叫ぶ指輪って…」
並んでいるものを見ると「キャー」だの「グガガガガガ」だの…少し騒がしい指輪ばかりだ。
入間くんに指輪は叫ぶものなのかと聞いてみれば「叫ばないよ!?」ととてもびっくりしたようで。
「…まず指輪つけてる人見た事ないな」
夫婦に会っていないだけなんだろうけど気になってしまう。
「何見てやがる小娘」
「…え」
見ていた金色の指輪が喋っていた。あまり驚かないが。
「こ、小娘じゃないです、れっきとした大人「小娘」…はいはい小娘ですよ〜…」
「見んじゃねぇ、さっさと散れ」
「…む」
ちょうど会計も終わったようで、先輩が私を呼びに来ていた。
「こ、鼓膜が…」
「早く出ましょうか」
店を出て繁華街を歩いていると先輩が口を開いた。
「…結婚式はいつにする?」
「……早い方がいいですよ、私子供達から大人気なので取られちゃうかもしれません」
「口説かれたん!?うそぉ!!」
「ホントです笑」
先輩の驚きように笑いを零せば、先輩の動きが止まる。
「…どうしました?」
「あー…えっと、可愛ええなって思って」
「いつも言ってるじゃないですか」
うまく説明できていないのか頭をぐしゃぐしゃに掻き乱し、眼鏡も外した。
「い、いつも以上に可愛ええってこと…なんやけど」
「分かってます」
「分かってるなら…!」
「からかってみたくて」
「…んーもうっ!!」
公共の前でもお構い無しとでも言うように私を抱きしめた。恥ずかしいんですが。
「…ほんとに可愛くて仕方ないわ」
「先輩もですよ」
耳元で言うと、ばっと体を離して私の目を真っ直ぐ見つめて。
「…だから…僕はっ」
「かっこいいって言われたい?」
「…うっ」
「ふふ」
今日くらい、いつもの意地悪の仕返しをしてもいいですよね。
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ライ - 好きー♡ (4月19日 22時) (レス) id: 3472106834 (このIDを非表示/違反報告)
おふ - 叫びまくりました!!ありがとうございました!! (2022年5月29日 16時) (レス) @page13 id: b7e02255d2 (このIDを非表示/違反報告)
あお - よし、、、、、、好きだ♡ (2022年4月7日 13時) (レス) @page13 id: eddd57a166 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - うん…好きです。結婚してください(おい何言ってやがる) 申し訳ございません。許してください(土下座) とっても素敵な作品でした! (2020年11月6日 17時) (レス) id: 48980b5e27 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - なんて!!!素敵な作品なんですかぁぁぁぁ。好き!好きです!!これからも頑張ってください!!! (2020年10月7日 7時) (レス) id: 48980b5e27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沫梨 | 作成日時:2020年3月4日 10時