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いつの日か、誰かに言われた。美門辺りだろうか。



”黒木、ちょっと気分転換でもしたら?微妙にじゃなくて、思いっきりさ。”



そんなことを言われたのも、こんな日だったのだろうか。




ぼんやりと記憶を辿りながら、教室を出て目的地へと向かう。


体でも動かせば、気も少しは紛れるか。


そう考えた後に着いたのは、秀明グラウンド。

ランニング、筋トレ、シュート練、全部無心で試してみるつもりだった。





けれど。




グラウンドには先客がいた。


『はは、マジか。』


思わず笑ってしまった。


グラウンドにいたのは、若武だった。

先週のHSとの試合で、1試合にシュートを4本も決めた若武は、試合後、



”ほら見たか!俺の活躍!!”

”ついに若武の練習の成果が発揮されたんでしょ。”

”……おい美門!実力だ実力!!!”


なんて会話をしていた。



当人は、練習で上手くなった若武和臣、ではなく、才能ある若武和臣、の方がかっこいいと思っているんだろう。

だからあんなことを言っていたものの、根は真面目で、その証拠に、今彼はグラウンドに立っていた。



それにしても、今日まで練習するとは思わなかったな。

若武の秀明のクラスは、今日国語のプレテストがあるとかで、少なくとも1週間前辺りからは、慌てる奴らも増えていた。


だから練習する暇さえないんじゃないかと思っていたけど、流石若武先生、よくやるな。





空はまだ明るかったが、自分の真上の雲は厚い厚い入道雲だった。

その雲が太陽を半分程隠し、気まぐれかのように、グラウンドに日陰を作っていた。



木陰のあるベンチに鞄を置いて、静かに若武がボールを操るコートへと歩む。


ボールの位置と重心の傾け具合のバランスに四苦八苦しているようで、すっかり周りが見えなくなっている彼のディフェンスに付きに行く。


「…は!? 黒木!?」

『ふ、ほら、抜けちゃうよ。』


若武は、いきなりボールを絡め取った俺に驚愕していた。

それでも俺がボールを進め続けていれば、負けず嫌いなその性格ゆえ、すぐさま食らいついてくる。



こめかみに汗を光らせ、芯のある()でボールを射抜く彼は、日光に照らされなくとも、 輝いていた。






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.→←光を重ねたあの日から。



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あおい(プロフ) - 完結後、読ませていただきました。どのお話も、少し考えさせるような、奥が深いもので、私もこういう小説を書いていきたいです。 (2020年4月28日 7時) (レス) id: 331ddf8f4c (このIDを非表示/違反報告)
りぃあ♪# - 完結おめでとうございます!どのお話も奥が深く、読んでいてとても考えさせられました。とても面白かったです。 (2020年4月18日 8時) (レス) id: 77648adcbf (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - 完結おめでとうございます。どのお話もすごく心に残り、自分と重ね合って読んでいました。すごくいいお話だったと思います。 (2020年3月31日 19時) (レス) id: eb71493e70 (このIDを非表示/違反報告)
小幅 - とても面白い作品ですね!続きが楽しみです。 更新、無理しない程度に、頑張ってください! (2020年3月30日 15時) (レス) id: 62007663da (このIDを非表示/違反報告)
はんな(プロフ) - 情景描写がくわしくて、上階が本当に浮かんできます!素晴らしすぎる… (2020年3月28日 11時) (レス) id: 3170240b5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷・結・ゆいなー・あお・ここは x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hp-rei/  
作成日時:2020年3月24日 19時

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