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「行ってきまーす。」


朝、いつもより少し早く家を出た私は、自転車に乗らず徒歩で最寄り駅に向かった。




今日は夕方の降水確率が70%。


今は晴れているけど、もし下校時雨が降っていれば、駅から自転車で帰れなくなってしまう。

だから今日は、自転車で行く道を歩こうと思ったんだ。
少し疲れるけどね、仕方ない。





“雨”という天気、私は好きでも嫌いでもない。



干ばつしている地域では恵みとなり、災害の時には脅威となり得る。


もっと身近なことで言えば、雨が降れば外での体育は無くなるし、電車やバスなどの公共交通機関が混雑する。



雨乞い、なんて言葉もある訳だし、雨は私たちの生活にとても影響を及ぼしている天気なんだよね。



小塚くんなら、雨についてもっとたくさんの知識があるはず。
今度のミーティングで聞いてみようかな。






「おい、立花。」

駅を出てまた歩き、学校が見えてきたところで後ろから私に声をかけてきたのは、佐田真理子ことマリン。
マリンは私の隣に肩を並べた。



「おはよ、マリン。」


「はよ。

な、ちょっと見てくれ。」


そうして意気揚々とバッグから取り出したのは、一本の折り畳み傘。
これが……何?



「新しく買ったんだ。いいだろ。」


それは水色と黄色のチェック柄で、爽やかな雰囲気のものだった。




「可愛いね。」


「だろ?店頭に並んでて、一目惚れして買ったんだ。」


マリンは満足そうに眺めた後、大事そうにバッグにしまった。




それを横目に見ながら、なるほど、と私は一人納得していた。



雨って、こうやって楽しむことも出来るんだなぁ……。

私はもちろん柄も気にするけど、災害の多い国に住んでいるから、強度や骨の本数も考えて傘を決めているんだ。
強風で折れてしまったらどうにもならないもの。






ローファーから上履きに履き替えていると、マリンがいきなり動きを止めた。
どうしたの?



「クラスLINEで回ってきた噂なんだけど、今日返ってくる数学のテスト、平均点かなり低いらしいぞ。」




う、私の心が折れそう……。




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あおい(プロフ) - 完結後、読ませていただきました。どのお話も、少し考えさせるような、奥が深いもので、私もこういう小説を書いていきたいです。 (2020年4月28日 7時) (レス) id: 331ddf8f4c (このIDを非表示/違反報告)
りぃあ♪# - 完結おめでとうございます!どのお話も奥が深く、読んでいてとても考えさせられました。とても面白かったです。 (2020年4月18日 8時) (レス) id: 77648adcbf (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - 完結おめでとうございます。どのお話もすごく心に残り、自分と重ね合って読んでいました。すごくいいお話だったと思います。 (2020年3月31日 19時) (レス) id: eb71493e70 (このIDを非表示/違反報告)
小幅 - とても面白い作品ですね!続きが楽しみです。 更新、無理しない程度に、頑張ってください! (2020年3月30日 15時) (レス) id: 62007663da (このIDを非表示/違反報告)
はんな(プロフ) - 情景描写がくわしくて、上階が本当に浮かんできます!素晴らしすぎる… (2020年3月28日 11時) (レス) id: 3170240b5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷・結・ゆいなー・あお・ここは x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hp-rei/  
作成日時:2020年3月24日 19時

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