鬼狩り３１ ページ31
〜？？サイド〜
＿＿＿＿視界が霞む。
肺が痛い。冷たい。全集中の呼吸ができない。
？？「大丈夫かい？ 上手く息が吸えないはずだよ。俺の血鬼術を吸っちゃったんだから」
目の前の鬼が、満面の笑みを浮かべてそう囁いてきた。
？？「君はすごいよ＿＿＿こんな華奢なのに。
柱なんでしょ？ 女の子が鬼殺隊の柱だなんて。うん、とてもすごい。きっとたくさん努力したんだろうね」
そう、私は努力した。
自分たちの命を救われた時、妹と約束したから。
『鬼を倒そう。一体でも多く、二人で』
『私たちと同じ思いを、他の人にはさせない』
だから強くなった。花柱にもなった。
人々の幸せが、鬼によって奪われる前に＿＿＿＿私は戦う。
決して……逃げてはいけない。私は鬼殺隊士であり、柱なんだから。
？？「今日は最高の夜だよ。こんな強くて可愛らしい、素敵な女性と出会えたんだから」
駆けつけた時にはすでに隊士が次々と殺されており、その中でも女性隊士だけが喰われていた。
鬼は私がここに来た時から、ずっとこんな調子だ。
虹色の綺麗な瞳からは、感情が見えない。明らかに大事なものが欠落している。
鬼になったからなのか、それとも人間の時からなのか。
そう……この鬼だって、かつては人間だったのだ。
救いたい。人間も、鬼も。それが私の理想であり、願いだから。
「は……はッ……」
凍てつく肺を懸命に動かして、呼吸を繰り出す。
柄を握る手に力を込めて立ち上がった。
ここで私が倒れたら、また多くの人たちが殺されてしまう。最後まで戦わなきゃ。
私が、守らなきゃ。かつてそうしてもらったように。
けれどもう……力がほとんど残っていない。
？？「わあすごいね！ まだ立てるなんて！」
鬼は立ち上がった私を見て、血に汚れた口角を上げる。
その目からは、ボロボロと涙が溢れていた。
？？「これだから人間は素晴らしいよ！ 全部全部無駄だというのに諦めない、希望を捨てない！
やり抜こうとする愚かしさ＿＿＿＿儚さ！」
鬼が手に持った扇を開いた。
周囲の気温がどんどん奪われ、急激に低下していく。
ああ、しのぶ、カナヲ……蝶屋敷のみんな……
ごめんね……私は……みんなを、置いていってしまうかもしれない＿＿＿＿
みんなの笑顔が、走馬灯のように脳裏に浮かび上がった。
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サリア(プロフ) - きのこさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(´∀｀*) 更新頑張ります！ (2020年3月2日 11時) (
レス) id: 5231526d40 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - この作品超好きです！！更新頑張って下さい！ (2020年3月1日 23時) (レス) id: 45b1b66d37 (このIDを非表示/違反報告)
サリア(プロフ) - ふ ろ ふ き 大 根さん» コメントありがとうございます！更新頑張ります！(*´∇｀*) (2020年2月28日 19時) (レス) id: 02855f94f3 (このIDを非表示/違反報告)
ふ ろ ふ き 大 根(プロフ) - ストーリーめっちゃ好きです！！続き楽しみにしてます( ・∇・)更新がんばってください！！ (2020年2月28日 16時) (レス) id: cfd0445662 (このIDを非表示/違反報告)
サリア(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます！神作品だなんて…嬉しいです(´∀｀*) 更新頑張ります！ (2020年2月27日 23時) (レス) id: 02855f94f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サリア | 作成日時：2020年2月26日 15時
