【イナGO】魔法少年少女の戦い (ページ24)

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命の恩人ページ24

～神童side～

帰り道、俺は腑に落ちなくて浜野に尋ねた。

神童「浜野。なぜ星宮Aと明日会う約束をしたんだ？

この町は危険だ。あのまま帰らせるべきだった」

浜野「うーん、そうなんだけど。でも神童も気にならない？

Aは俺たちと同じ、願い事に関する記憶を失っているんだぜ。

俺と、神童と、A……この3人に共通する“なにか”があるかもしれない。俺はそれを確かめたい」

俺はその言葉に黙り込む。

星宮Aとは初対面。けれど願い事を覚えていないという共通点がある。

なぜだろう。まったくの謎だ。

浜野「それにさ、Aは霧野を助けてくれたんだ。

何か困ってるみたいだし、助けてあげようよ。仲間の命の恩人なんだし」

神童「……それもそうだな」

命の恩人、か。

・

キュゥべえ『戦いの定めと引き換えにしてでもかなえたい望みがあるなら、僕が力になってあげられるよ』

俺の前に初めて姿を現したキュゥべえは、突然そう言った。

魔人。

願いから生まれるのが魔法少女や魔法少年なら、魔人は呪いから生まれる存在。

魔法少年少女が希望を振り撒くように、魔人は絶望を撒き散らす。

しかも結界の奥に隠れ住んでおり、その姿は人には見えないのでタチが悪い。

不安や懐疑心、怒りや憎しみといった負の感情を増幅させ、災いの種を世界にもたらしている。

理由のはっきりしない殺人事件などは、大抵魔人が原因だったりする。

そんな恐ろしい化け物と戦う運命を背負ってまで、俺がかなえたかった願い事。

なにも覚えていない。その時どんな状況だったのか、俺とキュゥべえ以外に人はいたのか、それすらも。

けれど……。

キュゥべえ『君はその祈りのために、魂を懸けられるかい？

魔人と戦い続ける運命を受け入れられる？』

その問いかけに、俺は。

神童『構わない！どんなことも受け入れる！だから頼む、キュゥべえ！

あいつは＿＿＿＿俺の命の恩人なんだ！』

なぜか、そう答えたことだけは鮮明に覚えている。

俺は……誰かのためにその願いを使ったのだろうか？

だとすれば、一体誰のために？

神童「だが恩人ならなおさら、この町で危険に晒すわけにはいかないだろう。

さっきの戦い……魔人にダメージすら与えられないのは致命的だ」

浜野「そうだな～」

正直、Aにはこの町に関わってほしくない。彼女自身のためにも。

彼女は、霧野の命の恩人なのだから。