39 赤の王の夢 ページ40
広い。
飛行船の様な、けれども、生きている様な。
白鯨の中には、矢張り沢山の人がいた。
グルグルと、鏡の世界だからこそ、自由に情報を集めるA。
砲台のメンテナンスをする青年。
一人個室で書き物をしている女の子。
医務室で静寂に臥せる女性。
そして――赤毛の彼女。
老人と組合団長さんは別れ、敦君はその一部屋に放られた。
彼はまだ目覚めない。
下に、街に降りれる気配は、全くない。
高い天井、
美しい壁、
大きな窓、
高品質のソファ、テーブル、
高価な絵画、絨毯、
調度品が、全てを物語っている様。
時たま団長さんは携帯を取り出し、何処かへ電話を掛けている。
それは。
知っている態度とは違う、
とてもとても、優しい声。
一体、誰が相手なのだろう。
そうそれは、
あの時のあの人に、少し似ていて。
「愛しているよ、ゼルダ」
何時ものその一言で、通話を切った時、
彼――中島敦は起きた。
「おはよう。虎人の少年」
「…………」
フィッツジェラルドの口調は、元に戻っていた。
何でも、
敦君は団長さんが欲しいものの、
道標になるらしい。
だから、
懸賞金をかけてでも、
無関係な人々を巻き込んででも、
その為だけに。
その夢物語の如き、夢の為に。
彼等は、
彼は。
と。
「…………」
あ、モンゴメリ、さん。
彼女の、
脳裏に焼き付いた、あの憎しみ溢れる顔が鮮明になる。
そして彼女が退室する時持っていたのが、
「！」
夢野久作が持っていた、
あの人形。
え、何で？
どうして、あの呪いの根源が。
Aがその疑問の答えに達する間に、説明が終わった敦は男達に取り押さえられ、
付いて行った先の牢に、閉じ込められた。
「……………」
此処で、私は何をすればよいのだろう。
太宰さんが私を此処に送った意味。
私にしか出来ないこと。
それは、何なのか。
「いい気味ね」
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neko - 江戸川乱歩様、貴方には異能力が全く御座いません。サッパリです。 (2020年10月1日 14時) (
レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - マカロニさん» マカロニ様、ご指摘ありがとうございます。早速プロローグにさせて頂きました。この様に切ない技量ですが、更新頑張りますので宜しくお願い致します！ (2019年12月30日 11時) (レス) id: 51ec71086f (このIDを非表示/違反報告)
マカロニ(プロフ) - コメント失礼します｡第一話のエピローグはプロローグの間違いではないでしょうか？(エピローグは終わりの時なので……)初コメントがこのような形ですみません｡更新頑張って下さい｡ (2019年12月30日 8時) (レス) id: 30ec427a94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：午 | 作成日時：2019年12月22日 22時
