探偵社に愛される少女は谷崎潤一郎が大嫌い【文スト】

24　盤上を眺めて ページ25

カツンカツン、トトントトンと、足音2つ。
追い掛けてきた森鴎外と、エリスのもの。


　エリスちゃんもたまに此方に気付いた様な素振り見せるのよね……異能だから、かしら。


　息を殺さなきゃ、
　気配を殺さなきゃ。


「我々も又、困難な戦局と云う訳だ」


　冷徹な表情、頼りない表情、そして、皆が知る、本当の表情。


　Aは此の様な光景をまあまあの頻度で視てきたので、首領さんよく分からないなあ、と思っていた。


　それにしても、マフィア構成員をこんなに集めて、どうする気？


「最適解が必要だね
　組合も、探偵社も」


「…………」


「引き続き、組合と武装探偵社は徹底的に潰して、殺せ」


「…………」


　他に重要な作戦内容を云って、首領さんが立ち去っていく。
　うん、エリスちゃんにはバレなかったみたい。


　まあ、ポートマフィア怖いけど、
　昔から視に来過ぎて、

　その圧力や畏怖に慣れてしまっている自分がいる。


　だから私、たまにポートマフィアみたいな雰囲気出しちゃうのよね――


　――直さないと。


「…………」


　それより。


　どうしよう、
　また、武装探偵社、狙われるの？


　鼓動が、速くなった。

25　燃える闇→←23　宣戦

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す