治癒の異能を持つ少女はポートマフィアに愛される【文スト】

23　幸せの青い鳥 ページ24

筧Aは大空を仰いで叫んだ。


「あーーめっちゃ色々買った！ めっちゃ満喫した！ クレープ美味しかった！」


　久し振りの外だったからか、全てのホールのブティックを周り、エリスの付き合いでゲームセンターを巡り、先程クレープを食べ、現在は紅茶の美味しい喫茶店にいる。


「良かったのぅ……A」

「お元気ですね……」

「あたしもう歩けなーい」

「疲れているエリスちゃんの可愛いさが狂気……！」


　A以外、既に歩き疲れており、少しぐでっとしている。


「あ、じゃあ私、最後にお菓子見てきますね。下の階の駄菓子屋さん」

「菓子の補給くらい、下の者がすればよいじゃろう」

「たまには自分で市場を見たいんですよ！ すぐ戻りまーす！」


　そうして明るく、たったかと階段に向かっていく彼女の後ろ姿を見ながら、森鴎外は言葉を切った。


「ふむ。拠点から一歩も出ず、久方振りの外にも限らず、逃げようとはしなかったねぇ、筧君。本当にこの状況に満足しているみたいだ」

「そりゃあの」


　尾崎が反応する。


「欲しいものは手に入るし、給料も出るし、同僚は皆優しい。会社をクビになった者からすれば、普通の感覚くらい、狂うじゃろな」


「ふふふ」


　彼は嬉しそうに笑った。


「まあ、彼女にはこれからも、みんなの青い鳥でいてもらうけどね」

「リンタロウ、気持ち悪ーい」


　いつもの毒舌を浴びる首領を他所に、尾崎は虚空を見上げた。


「そうじゃな……」

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