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本当のことを言ったのだが、シャルにとってこれは言い訳だ。



こんなことになるなら、嘘をつかずにキチンと言えばよかった。



「だとしても、俺は内緒でキルアと会ったのが嫌だな。」



ぽすっ…と、私の首元に顔を埋めた。



「嫌だ。」



2回も言うぐらい、シャルは私の首元で拗ねている。



私の中の申し訳なさが積もりに積もり、溢れてしまった。



『ごめんっ…シャル、本当にごめん…。』



グラッ…と視界が揺れたかと思うと、背中にはふかふかのベッドの感触。



そして、私の顔の両隣には筋肉質のシャルの腕。



そして、画面いっぱいの彼の顔。



「嫌だ、許さないよ。」



3回目の嫌だはものすごい圧だった。



『シャル?』



ハハッと苦笑いを浮かべて名前を呼んだが、無視されてしまった。



『あの…。』



「今から襲う。」



その予告に、思わず体が固まった。



でも、酔っ払って余裕のなかったあの時は別として、シャルはそんなことしないだろう。



『冗談だよね?


シャルはそんなことしないよね…?』



「男なんて、王子も悪者も、一皮剥けばみんな同じだよ?」



真顔で言われてしまったので本気ということがチリチリと伝わってきた。



後悔の波が一気に押し寄せ、私はギュッと目を瞑った。



『…分かった。


シャルの気がそれで済むなら…。』



今回の件は、どの角度から見ても私が悪い。



シャルを怒らせてしまったのだから、こうなってしまうのも致し方ない。



すると、大きなため息が聞こえたかと思うと、全身に重みを感じた。



その重みを確認するために目を開けると、シャルが私の体に乗っかかっていた。



「A、ごめん。


Aにそんなことできるわけない。


怖がらせてごめん。」



まさかのきつい冗談だったようだ。



ホッとし、体の力がへにゃっと抜けた。



『私も嘘ついてごめん。


正直に言えばよかったね。』



「それは…言ってほしかった。」



『うっ…ごめん…。』



謝ると、シャルはガバッと体を起こし、私の腕を引っ張って起こしてくれた。



ベッドの上で向かい合わせに座ると、彼は私をふわっと抱きしめた。



『シャル?』



「んー?」



シャルは間延びした声で答え、自分の頰と私の頬をすりっ…と軽く触れ合わせた。



そして、「好きだよ。」と小さな声で言ってくれた。



『私も好きだよ。』



「……やっぱり襲っていい?」



『っ…!駄目!』

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作者名:きなこもち | 作成日時:2021年5月2日 11時

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