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『お帰り…じゃなくて。先に帰っちゃってごめんね。』
「いや、気にしてないよ。うっかり屋さんだね。」
そう言って屈託なく笑ったシャルに、チクリと胸が痛んだ。
心の底から申し訳ないと思いながら作り笑いを浮かべると、彼は少し目を細めた。
「……嘘ついてない？」
たまに忘れてしまう、シャルの勘の鋭さ。
言葉で取り繕っても、感情までは誤魔化せない。
私の心臓は飛び出るほどうるさく鳴り始めた。
『え…ついてないよ？』
ケロッと言ったのだが、彼の険しい顔は変わらない。
「嘘ついてる感じがするんだけど。」
『ついてないってば。』
私が選択したのは、��言わない��だ。
言う勇気も出なかったし、言えるはずがなかった。
「…本当にうっかりして帰ったの？」
『そうだってば。』
「今のすごく嘘っぽい。」
シャルがジリッ…と私に一歩近付いた。
ごめん、ごめんシャル。
キルアと会ってましたなんて言えない！
『キルアと会ってたなんて言えな…い…！？』
心の声がそのまんま口に出ていた。
しかも、気付いたのは言い終わった後。
私はハッとし、手で口を塞いだが、時すでに遅し。
シャルの表情がみるみる不機嫌になっていく。
だけど、ニコッと微笑んでいるので、余計に怖い！
「ほら、嘘ついてたじゃん。
で……何で？」
『あっ…えっと…その…。
買い物に行ってくる…！』
ゲームのコマンドで��逃げる��一択なぐらい、シャルが怖かったのだが、��逃げる��は失敗に終わった。
私が動く前にシャルが動き、私の前に立ち塞がった。
「逃すわけないでしょ？
A？」
『はっ…はいぃ…。』
残念。
私は捕まってしまった。
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作者名：きなこもち | 作成日時：2021年5月2日 11時
