いいんですか？ Ren.N (ページ9)

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『あ、起きた』

朝、寝ぼけながら目を開けると、関西訛りの高い声が聞こえた。

「え … 」

視界いっぱいの永瀬さん。ばっちり目が合ってしまった。

いきなりのことに驚いて布団を頭の上まで引っ張り上げる。

心臓が飛び出るかと思った。っていうか、いつからいたんだ？完全に寝顔を見られたな、こりゃ…。

『びっくりした？ごめんなあ～』

分厚い掛け布団越しに永瀬さんの声が聞こえる。

そうだ、昨日から私の担当になったんだ、この看護師さん。

「謝らなくていいので、もう二度と私の顔覗き込まないで下さい。
あと、手を私の頭上に持っていかないで下さい。
それと、担当ナース早急に変えてください。」

伝えるべきことを一息に伝える。1番最後のお願いは特に気持ちを込めて。

『お前、まだ言うんかそれ。こっちがうんざりしてきそうやわ～。』

「変えてくれます？」

『ムリやって。そんなことより点滴変えるから、潜ってないで出てきてや。』

まあ、そうだよなあ。期待なんてしてないけど。

『腕出してみ。』

大人しく布団から出て、点滴の刺さった腕を差し出す。

さすが看護師。テキパキと慣れた手つきで点滴を交換する。

永瀬さんの真剣な眼差し。ついさっきまで眠そうできっと早番なんだろうなあ、なんて思ってたのに、仕事人の顔になっている。

そういえば永瀬さんの看護師らしいところ初めて見たかも。

『見すぎや。』