いいんですか？ Ren.N (ページ38)

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屋上から飛び降りたはずなのに、次に目を覚ますと、目の前には見たことのない真っ白な天井が広がっていた。

ここ、どこ？

窓がひとつも無い、無機質で殺風景な部屋の中、私はベッドに横たわっている。

腕には点滴が繋がっている。

ああ、死ねなかったんだ。

「っ、なんで … っ」

目の前が暗くなった。やり切れなさに涙が溢れてくる。

また、苦しい日々が始まるんだ。

自らの命を断つことに失敗した私は、精神科閉鎖病棟に閉じ込められた。

「離して！ここから出して！」

泣いても喚いてもこの部屋からは出られない。

暴れれば看護師に押さえつけられて手足を拘束される。

恐ろしいほどに清潔な部屋。人間味のないその部屋の中では、時の流れも季節の変化も分からなくなる。

手足を動かす自由もなくなった私には天井を眺めることしかできない。

もう消えてしまいたいのに、何も無いこの部屋では、そんなこともできない。毎日がフラストレーション。

病室に閉じ込められ、お見舞いに来てくれる家族にも友達にも会えない。

いつも、いつもひとり。ずっと、ずっと孤独だった。

私の１日は淡々と起きて、淡々と夜を待つだけ。

ぼうっと白い壁を眺めながら命が尽きる時、その時を待つ。

白一色の病室の中、いつしか、私は笑うことも泣くこともなくなっていた。心が死んでしまっていた。