travel 56 ページ10
「お前が巻き込まれるのなんて見たくなかったからだ。あの人達は本当にやべぇからな。魔法使いの家系に生まれたお前ならきっと死んでた。そんな
「でもっ!お前、そんな怪我してる素振りなんか全然見せなかったじゃねぇかよ…怪我してるんなら言ってくれよ…お前の事本気で殴ったりしたじゃねぇか!それで、お前何回か倒れてたじゃねぇか!」
「お前ならそうやって俺のために怒ってくれるし、泣いてもくれる。だからこそ、お前にわかってほしくなかった」
「あぁ、そういう事ね。やけに怪我とか痛みを隠すの上手いと思ったら」
「…?」
「あれ?わからないか…まぁ要するにね?アル君は君に親からそんな事されてて、大怪我してるって悟られたくなかった。理由は簡単。いくら君が言わないって言ったって、アル君の親達には悟られる。だから、言わなかったんでしょ?」
何となく察したベルがパールスワルトにそう言う。アルティアはまた苦笑をこぼして、ベルの言葉を肯定する。
「お前…ほんっとに“こういう事”は命の危機とか、自分がこりゃダメだって思うまで言わないよな…まぁ、確かにこんな過去なら言いにくいかもだけど。さらっとだけで良いから言って欲しかったな…」
「悪いな。俺だって今までほぼ覚えてなかったから、言いようがなかった。これ、一応俺の第二のトラウマだからな。思い出すのは身体が避けてたんだろ…」
「あぁ、なるほど。そういうあたしも小さい頃の記憶はないから話しようがないな」
リオが珍しく拗ねたように言うが、アルティアに言われて確かに自分も幼少の頃の記憶はないな、と思うし、覚えてなければ話せないし、仕方のない事だとも思ったのだ。
「っ…!」
「ったく、ほんっとお前は昔から泣き虫だよなぁ…」
「!?…ちょっ、何すんだよ!」
「え?そりゃあ、泣き虫さんをあやしてるだけだけど?」
「「あはははっ…!」」
ポロポロと涙をこぼすパールスワルトにアルティアは、昔やっていたのだろう、頭を撫でた。それも、とても優しくポンポン、と髪に少し触れる程度に。そんな事をされると思わなかった彼は驚いた。
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ユエル@リノリア(プロフ) - りょーさん» コメントありがとうございます!不定期更新なのでいつ更新できるかわかりませんが、待っていてくださると嬉しいです! (2017年10月16日 18時) (レス) id: cfdb788b81 (このIDを非表示/違反報告)
りょー - とても面白かったです!続き待ってます! (2017年10月15日 17時) (レス) id: b27fe6d1f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユエル@リノリア | 作者ホームページ:
作成日時:2016年3月20日 23時