検索窓
今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:12,413 hit

travel 56 ページ10

「お前が巻き込まれるのなんて見たくなかったからだ。あの人達は本当にやべぇからな。魔法使いの家系に生まれたお前ならきっと死んでた。そんな(むご)い事されたし、それを誰にも言うことは許されなかった。話す機会はあったけどあの人達は話せばそいつも同じ目に合わせるって脅してきたからな。それを言われれば子供でもわかるよな?」

「でもっ!お前、そんな怪我してる素振りなんか全然見せなかったじゃねぇかよ…怪我してるんなら言ってくれよ…お前の事本気で殴ったりしたじゃねぇか!それで、お前何回か倒れてたじゃねぇか!」

「お前ならそうやって俺のために怒ってくれるし、泣いてもくれる。だからこそ、お前にわかってほしくなかった」

「あぁ、そういう事ね。やけに怪我とか痛みを隠すの上手いと思ったら」

「…?」

「あれ?わからないか…まぁ要するにね?アル君は君に親からそんな事されてて、大怪我してるって悟られたくなかった。理由は簡単。いくら君が言わないって言ったって、アル君の親達には悟られる。だから、言わなかったんでしょ?」

何となく察したベルがパールスワルトにそう言う。アルティアはまた苦笑をこぼして、ベルの言葉を肯定する。

「お前…ほんっとに“こういう事”は命の危機とか、自分がこりゃダメだって思うまで言わないよな…まぁ、確かにこんな過去なら言いにくいかもだけど。さらっとだけで良いから言って欲しかったな…」

「悪いな。俺だって今までほぼ覚えてなかったから、言いようがなかった。これ、一応俺の第二のトラウマだからな。思い出すのは身体が避けてたんだろ…」

「あぁ、なるほど。そういうあたしも小さい頃の記憶はないから話しようがないな」

リオが珍しく拗ねたように言うが、アルティアに言われて確かに自分も幼少の頃の記憶はないな、と思うし、覚えてなければ話せないし、仕方のない事だとも思ったのだ。

「っ…!」

「ったく、ほんっとお前は昔から泣き虫だよなぁ…」

「!?…ちょっ、何すんだよ!」

「え?そりゃあ、泣き虫さんをあやしてるだけだけど?」

「「あはははっ…!」」

ポロポロと涙をこぼすパールスワルトにアルティアは、昔やっていたのだろう、頭を撫でた。それも、とても優しくポンポン、と髪に少し触れる程度に。そんな事をされると思わなかった彼は驚いた。

travel 57→←travel 55



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.8/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
設定タグ:シリアス , オリジナル , 男主   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ユエル@リノリア(プロフ) - りょーさん» コメントありがとうございます!不定期更新なのでいつ更新できるかわかりませんが、待っていてくださると嬉しいです! (2017年10月16日 18時) (レス) id: cfdb788b81 (このIDを非表示/違反報告)
りょー - とても面白かったです!続き待ってます! (2017年10月15日 17時) (レス) id: b27fe6d1f7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ユエル@リノリア | 作者ホームページ:   
作成日時:2016年3月20日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。