travel 86 ページ40
そう、少年が驚いたのも無理はない。アルティアの左目が、赤く染まっていたのだから。
「これならどーよ？」
「アル君！？」
「まさか！」
「おいおい、大丈夫かよ！？」
「アル兄！？」
「……ふむ」
皆が驚く。アルティアの顔を見て。だが、ファルマだけは驚かず、まじまじとアルティアの顔を見ていたのだった。
―敵わない、と知って敵である神を、カルネジアを半身に宿す……影響を受けている今、それをすればどうなるかくらい、わかってる筈だ。なのに、そこまでする……何か、理由があるのかい？
ファルマは、ラフィナを守りながら、考えた。だが、答えは出ない。アルティアは馬鹿ではない。仲間を守るためなら自らを捨てる覚悟くらい、ある。それならば、この状況で何故、半身にカルネジアを宿したのか。
彼ほどの実力者なら、半身にカルネジアを宿さなくとも、武器や魔道書を使って勝てる筈なのだ。なのに、何故。そこで、ふとアルティアの方を向くファルマ。すると、少年を手玉に取り、その身体を踏みつけているアルティアの姿が。
「アル君！」
「――っ、大丈夫。呑まれてなんてない。でも、こいつはダメだ」
「あは、アハはははハは……！！カルネジア様だァ！ねぇ、僕、エライでショ？ねぇ！」
狂ったように笑いながら、少年はアルティアの半身に宿ったカルネジアへ、ひたすら言う。きっと、自分を見て欲しくて。
『あァ、貴様ノ気持ちハ、よく、ワカッタ。さァ、そのチカラ、我に捧げよ』
「「「！」」」
突然、カルネジアの声が響く。
「ってぇ…！」
アルティアが、頭を抑える。ということは、カルネジアが乗っ取ろうとしているという事だ。それに気づいたベル達は、必死に呼びかける。
「アル君！！しっかり！！」
「おい飾り！！呑まれたら承知しないぞ！」
「おい、小僧！しっかりしやがれ！」
「アル兄！！！」
「アルティア君、君を止めるのは骨が折れる。しっかりしてくれ」
それぞれがアルティアに呼びかけると、アルティアは
「はー、はー、はー……！きっつ、マジでキツイな……けど、よーへー(傭兵)さんにしばかれるのは困るし、もう少し、頑張るとするかな」
と言って、魔道書を開いた。
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ユエル＠リノリア(プロフ) - りょーさん» コメントありがとうございます！不定期更新なのでいつ更新できるかわかりませんが、待っていてくださると嬉しいです！ (2017年10月16日 18時) (
レス) id: cfdb788b81 (このIDを非表示/違反報告)
りょー - とても面白かったです！続き待ってます！ (2017年10月15日 17時) (レス) id: b27fe6d1f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユエル＠リノリア | 作者ホームページ：
作成日時：2016年3月20日 23時
