travel 79 ページ33
・・・
あれから、数分後。ベル達の周りには黒いマントの集団は全員地に伏していた。呻いている者が多いが大多数は意識がないようだ。それを見てから、ベル達はひとまずは息をつく。
「ふぅ、なんとかなったね…」
「あぁ」
「流石に骨が折れるっての…何人いやがった」
「だよねぇ…僕、戦えはするけど本職はマジシャン…じゃないや、手品師、だからね。まだ師匠からマジシャンって認めてもらってないからなぁ…」
「お前の腕で、認めてもらってないって…相当厳しいか、相当師匠とやらの腕が凄いのどっちかだな」
「あー…あの人、ふざけてるけど実力は凄いよ。マジシャンしてるけど、戦えるし…」
そんな会話をしながら、ベル達はアルティアとラフィナを探す。きっと、向こうも襲われているはずだ。アルティアがいるため、そんなに心配は要らない。だが、ベル達を襲ってきた奴らはアルティアに宿る堕神のことを知っていた。その上でこちらに仕掛けてきているのだから、万が一、と言うことがある。
「ここから、手分けして探そう――」
ベルが、そう言いかけた時だ。
ドゴォッ!
そんな、音がした。その音は、今聞いた限り壁が崩れる音だ。しかも相当な力で破壊されたに限る。嫌な予感が、全員に胸の中に生まれる。
「っ、音がした方に急ぐぞ!」
リオの言葉に、ベル達は一つ頷くと、一斉に駆け出した。
・・・
一方、アルティアとラフィナはと言うと。状況は最悪、と言える状態だった。アルティアが、ボロボロの姿で壁にできた、クレーターの中心部にいる。頭を怪我しているのだろう血が、顔を伝う。1番最初に出来た傷からも再び出血していた。しかし、不幸中の幸いとでも言うべきか、そんな状態でも、アルティアの意識は飛んでなかった。
ラフィナは未だ解けない薄い青色をした半球の壁の中にいる。小さなその手で必死に壁を叩きながら、アルティアの名前を呼んでいる。すると、その言葉が届いたのか、ふらふらとアルティアが立ち上がる。
「っち、こいつなんで…!」
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ…まだ、俺は…倒れるわけには、いかねーんだよ…」
「しつけーな…」
「アル兄!!」
「悪ぃな、嬢ちゃん。ちぃとばかし、寝てたみてぇだ」
アルティアはラフィナに背を向けたままそう言って、長柄の槌を出し、構えた。
「ハンマー?ハッ、今更!」
「俺を甘く見るなよ」
その言葉と共に、アルティアは今度はハンマーを片手に突っ込んで行くのだった。
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ユエル@リノリア(プロフ) - りょーさん» コメントありがとうございます!不定期更新なのでいつ更新できるかわかりませんが、待っていてくださると嬉しいです! (2017年10月16日 18時) (レス) id: cfdb788b81 (このIDを非表示/違反報告)
りょー - とても面白かったです!続き待ってます! (2017年10月15日 17時) (レス) id: b27fe6d1f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユエル@リノリア | 作者ホームページ:
作成日時:2016年3月20日 23時