travel 73 ページ27
・・・
あれからしばらくして、アルティアは目覚める。すると、日は高く上っているらしく日光が窓から入ってきている。
「んぁ…あー、俺…寝すぎだろ…」
呟いてから、ふと気付く。自分の左手に重みを感じるのだ。その方向に視線を向けると、そこにはラフィナがアルティアの手を巻き込んで突っ伏した状態で眠っていた。
「…ったく、自分のベッドで寝ろよ…」
そう言いながら、部屋に誰もいないことに気付く。恐らく買い出しか何かに行っているのだろう。アルティアは、器用に左手を抜き取るとラフィナを抱える。まだまだ軽いその体に、アルティアは優しそうな目をする。まるで、兄か何かのような――。
「風邪、引くぞ。まぁ、今の俺が言えたことじゃねぇか…しゃーねぇ、このままもう一眠りするか」
アルティアは抱き上げても起きないラフィナを抱っこする形で再びベッドに体を預けた。
・・・
所変わって、ベル達はと言うと。買い出し兼情報収集に来ていた。スヤスヤと寝ている2人を残しておくのは気が引けたが、アルティアの方はどんなに爆睡していてもラフィナのピンチには必ず目覚めるのだ。これまで、そんなことが何度かあった。だから、大丈夫だと判断してのことである。
「帰ったら起きてるかな〜?あの2人」
「さぁどうだろうな。あのボウズは随分と消耗してたみてーだから寝てると思うぜ?」
「あの馬鹿は絶対寝てる。ラナもなんだかんだで一緒に寝てるんじゃないか?」
そんな話をしつつ用事を済ませて宿に戻る道を歩いていく。すると、不意に何かがベルに向けて飛んできた。ベルは咄嗟にステッキで弾く。キィン!と金属音が辺りに響いた。
「っぶな…!ったく、誰だい?」
「やれやれ、結局こうなるのか…」
「…誰かフラグでも建てやがったか?」
と、そんな緊張感のない会話をしながらも各々武器を構えていた。そしてベルはチラリと自分が弾いたモノを見る。それはダガーだった。弾いた時に金属音がしていたため、刃物系だということは予想していたのだが、どうやら当たっていたようだ。
「んー、僕のお客さんみたいだね。で、誰かな?僕ってことは師匠絡みだとは思うんだけど」
ベルはダガーが飛んできたあたりを見ながらそう言った。その声音からして怒っているようにも聞こえる。
「あーあ、知らねーぞあたしは」
「ん?どういうことだ?」
「クス…さて、君は誰かな?」
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ユエル@リノリア(プロフ) - りょーさん» コメントありがとうございます!不定期更新なのでいつ更新できるかわかりませんが、待っていてくださると嬉しいです! (2017年10月16日 18時) (レス) id: cfdb788b81 (このIDを非表示/違反報告)
りょー - とても面白かったです!続き待ってます! (2017年10月15日 17時) (レス) id: b27fe6d1f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユエル@リノリア | 作者ホームページ:
作成日時:2016年3月20日 23時