travel 67 ページ21
「っ！」
「気持ちはわからなくもないけど、君が怪我したらラナちゃん悲しむよ。だから、そんな風に自分を傷つけちゃいけない」
「………」
「ここんとこお前どうした？なんかおかしいぞ」
リオが無言でいるアルティアに話しかける。どうにも彼女の目には彼の様子がおかしいと感じたらしい。それ故か声も自然と優しいものになっていた。いつもの刺々しい雰囲気もない。その事にアルティアは戸惑いつつも答える。
「……わからない、わからないんだ。何かモヤモヤしてるし、でも何処か身体の調子が悪いってわけでも、ねぇんだ」
自身の右の手の平を見つめながら、どこか悲しそうで寂しそうな、そんな何とも言えない目をして言うアルティア。彼自身もこの感覚が何かの感情なんだろう、という事は分かっているらしいがどの感情かが分からないでいた。どうにも今まで感じたことがないらしい。所々で間があったが、そう説明した。その説明を聞いたリオは感情がいくつか混ざり合っているのだと察した。2つは、自身も感じたことのある、恐怖と寂しさ。その事を伝えると、アルティアはハッとなる。そのすぐ後に右手を自身のおでこにあてて呟いた。
「……情けねぇ。今更、この堕神が怖いってのかよ…！寂しいって、今は仲間がいるのにか…!?もうわけわかんねぇ…」
「あとは、不安かな。ふふ、僕には君に精神的なゆとりが出来たからこそ、そう感じるんじゃないかなぁって思うよ」
「でも、俺は……こんな感情に、捕らわれちゃいけねぇんだ。だって俺がそうなれば、コイツに力を与えることになるから…!!」
「確かに前言ってたね。でも、ガス抜きしないと君が潰れる。そうなってしまえば本末転倒じゃないかい？」
ベルは優しく、まるで小さな子をあやすかのように言う。それを見守っていたリオはベルが言った言葉が何故か自分も言われている気になって、何とも言えない気持ちになる。一方、アルティアはと言うと。
「でも…！でも俺は…！」
「頑固だねぇ、君も。全く、リリアにそっくりだ」
「リリア…？」
「あぁ、ごめんね。僕の好きだった人、かな。僕のせいで死なせたんだ。リリア――リアリカ・アルストームって名前のね、君にそっくりな人だ」
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ユエル＠リノリア(プロフ) - りょーさん» コメントありがとうございます！不定期更新なのでいつ更新できるかわかりませんが、待っていてくださると嬉しいです！ (2017年10月16日 18時) (
レス) id: cfdb788b81 (このIDを非表示/違反報告)
りょー - とても面白かったです！続き待ってます！ (2017年10月15日 17時) (レス) id: b27fe6d1f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユエル＠リノリア | 作者ホームページ：
作成日時：2016年3月20日 23時
