travel 60 ページ14
よほど、武器を持たないアルティアと大剣を振り回すアレクの中々決着がつかない試合が珍しかったのだろう。
「リオ姉…大丈夫？あの人、すごくやなかんじだけど、何か…された？」
「いや…前と雰囲気ががらっと変わっててな。もっと、明るくて行動は荒くてももっと人のために行動してたはずなんだ」
「そりゃまた……にしても、アル君…武器を出さないね、どういうつもりかな？」
「あいつは、まだ本気じゃない。だから、きっと本気を出させたうえで、叩きのめそうって…そう考えてんだろう、アイツならやりかねん」
観客席ではベル達がそうやって話している。だがその間にも幾度となくぶつかる2人だが怪我すら負わないのなら、泥沼だろう。そう、リオがそう思った途端。アレクの雰囲気が変わった。今まではそこそこ明るく、それでいて戦闘狂のような感じだったが今度は違った。空気が一変する程のもので、禍々しく威圧感のある雰囲気に変わったのだ。
「「「!!!」」」
観客席で見ていたベル達にも、彼の禍々しく威圧感のある雰囲気は影響した。どこか、息苦しい。特に胸のあたりに何か重いかたまりでも乗っているかのよう。そして、手足には倦怠感。観客席に居るベル達でもそこまで影響されるのだ。間近で彼と対峙しているアルティアはどうだろう。そう思ってうつむいてしまった顔を上げると、驚く事にアルティアは変わっていなかった。アレクの雰囲気が変わっても変わる前と同じように、
「ふーん？ようやく本気になったってとこか？」
と、軽い雰囲気のまま。その事にアレクは手を抜かれていると感じたのだろう。声のトーンを下げながら言う。
「おい小僧。お前、今の俺様相手に手を抜くつもりか？」
「俺、そんなに自分が強いって思ってないんでね、勝てるかもわからない相手に本気は出さないって決めてるんだ」
「そうか。なら、しねぇえええ!!!!!」
会話が終わると共にアレクが大剣で何度も斬りかかってきた。それをバックステップでかわしたかと思えばすぐに前屈みになりながら前へ進んだり、後ろに何度かバク転をした後その反動を使って今度は前にバク宙したりと、中々常人にはできない動きで攻撃をかわすのだ。そしてそれが観客達にはサーカスの曲芸を見ているかのように映ったのだろう。歓声が上がったのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユエル＠リノリア(プロフ) - りょーさん» コメントありがとうございます！不定期更新なのでいつ更新できるかわかりませんが、待っていてくださると嬉しいです！ (2017年10月16日 18時) (
レス) id: cfdb788b81 (このIDを非表示/違反報告)
りょー - とても面白かったです！続き待ってます！ (2017年10月15日 17時) (レス) id: b27fe6d1f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ユエル＠リノリア | 作者ホームページ：
作成日時：2016年3月20日 23時
