名前を2 ページ13
「俺がヒーローだと？」
『その…嫌ですよね？すみません…。でも、オーバーホールさんは暗くて寂しくて冷たくて痛みしかない世界から救ってくれた。初めて私に手を差し伸べてくれた人。
私は…幸せです』
涙を流しながら話す彼女にオーバーホールはただ何も言えなかった。
どう答えたらいいのか分からなかったんだ。
闇で生きる自分の事をヒーローだと言うこの羊の事が無性に心から愛おしくて仕方なかったのだ。
だがその愛おしさが恋なのかはオーバーホールは正直わからなかった。
恋などしたことがない自分は、どれが恋の感情なのか知らないのだ。
だが目の前で小さくなって泣きじゃくる彼女があまりにも可愛らしくて抱きしめたくなる。
個性は病気だ、その考えは変わらない。
だが、彼女が言う通り個性があったからこそ自分たちは出会えたのだ。
「…A」
『壊理ちゃん、という子供の個性を使って個性を消すと、聞きました』
「…」
『もう、辞めてください……私は…オーバーホールさんが苦しそうにしか見えない……』
「……この作戦は、この八斎會を立て直すために必要なことだ」
『…オーバーホールさんは、この八斎會をどうしたいんですか？』
「なに？」
『ヒーロー達が注目する組織に、ですか？でもそれじゃぁここにいる皆は…幸せなんですか？大きな組織になってヒーローに狙われることになって、本当に…いいんですか？私は……嫌です…。みんなと…オーバーホールさんとここでずっと暮らしていきたい……。
私の中で皆は家族で、貴方は…私の唯一無二の存在なんです…』
俯いて黙ってしまった彼女にオーバーホールは必死に考えていた。
この作戦が成功すれば八斎會は裏社会を治められる。
だが、それでその後はどうするんだ？治めた後、何をする？
『…これは、私のワガママです…』
「…言ってみろ」
『……お願いします…私はもう…一人ぼっちに……なりたくないっ』
ボロボロと涙を流す彼女にオーバーホールは気づけば抱きしめていた。
濡れていくシャツが少し不快感を感じたが、それよりも今は泣きじゃくる彼女をどうにかしたかった。
「……正直、今すぐには辞められない。だが…考える時間を、くれ」
『……』
「俺は親父に恩がある。それこそ返せないほどのな」
『ここの組長さん、ですか？』
「そうだ。その人のおかげで俺はここにいられる。ヒーロー社会になり追いやられた組を…八斎會を大きくするには…壊理の個性が必要なんだ」
続きます
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マリイ - 治崎廻大好き (2022年3月20日 7時) (携帯から) (
レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
神田(プロフ) - めっちゃ好きです。気に入りました。今は更新停止中なんですね…無理はしないでくださいっ！（続きが気になるっ！） (2019年12月7日 17時) (レス) id: 49fc6c91b4 (このIDを非表示/違反報告)
まう (元ヒロアカ好き)(プロフ) - 好きです(´；ω；｀)更新頑張ってくださいお願いします← 続きが楽しみすぎて夜しか寝れないです (2019年4月24日 6時) (レス) id: 36ed8bcda8 (このIDを非表示/違反報告)
朝顔 - オーバーホールさん・・！もう、ヤバイ・・！ (2018年8月23日 17時) (レス) id: 43c78709a1 (このIDを非表示/違反報告)
甘党狼 - 治崎さんかっこよすぎる…っっ (2018年7月31日 8時) (レス) id: 2d330a8405 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yagiri | 作成日時：2018年7月12日 16時
