21:風邪の差し入れ ページ21
.
寝覚めが悪い。
一気に覚醒した目で凛くんからのメッセージを開く。
『風邪ひいたのか』『体調は』『生きてんのか』
数十分おきに送られていたメッセージ。
凛くんが私を心配してくれてるなんて、少し前の私なら舞い上がっていたのに。
頭痛が酷くなった気がする。
優しくされるほど、この先凛くんに拒絶されたらどうしようと考えてしまう。
甘さを知れば、もう戻れなくなる。
考えるだけ苦しくなって、やめた。
返信する気力もなくて、アプリを閉じる。
「Aー、何か欲しいものある？」
「んん、何か食べれるの」
「はいはい」
丁度お母さんが部屋に入って挨拶した。
玄関の閉まる音が聞こえた。だけどものの数分でまた階段をあがる音が聞こえる。
お母さんは手にビニール袋を持っていた。
「もう買ってきたの？」
「ううん、あんたの高校の友達が持ってきてくれた」
「えっ、誰？」
「
「あ、よっちゃん？ えー会いたかったな」
ビニール袋を受け取ると、中にはアイスやらフルーツやらプリンやらが入っていた。
こんなに食べれないのに。優しいな、よっちゃん。
お母さんは出ていくことなく私を眺めている。見上げると、何だか余計な事を含ませながらにやにやしていた。
「あの子、彼氏？」
「はい？」
「恰好良いし、良い子だね」
「何の話？」
「ちゃんとお礼しとくのよ」
終始かみ合わない会話のまま終わってしまった。
よっちゃんはそもそも女の子だし、どちらかというと可愛いの部類に入ると思うんだけど。
もしかして、潔くんも一緒に来てくれたのかな。
だとしたら、彼氏と間違えて申し訳ないな。
『よっちゃん、差し入れいっぱいありがと
でも買いすぎ、こんな食べれないよ(笑)』
『え、差し入れ？』
『うん、よっちゃんからってお母さんが
潔くんも一緒に来てくれたんだよね』
『それって今の話？』
『そうだよ。お母さんが潔くんの事彼氏と勘違いして、格好いいじゃんって言ってた』
返信が途切れた。
まだ隣に潔くんが居るのかな。
貰った袋の中からアイスを取り出した。
甘くておいしい。レモンのアイス。
アイスを片手に携帯を弄っていると、数分後によっちゃんから返信が来た。
『なるほどね』
『ちゃんと潔にも伝えとくね』
お大事に、という熊のスタンプを見て携帯を閉じた。
明日、よっちゃんと潔くんにお礼言わなきゃな。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 461人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おそらまめ(プロフ) - 彩華さん» 彩華様、感想長らく気づかず遅くなり申し訳ありません。ありがとうございます。きっと二人、これからも沢山言い合いして、言葉にならない愛を育んで、お互いが明日を生きる理由がお互いになっていくんだと思っています。また機会があればどこかでお会いしましょう！ (7月21日 13時) (
レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - 完結から時間経っているとはわかっているんですけど、これだけは言わせてください。めっちゃ好きです！夢主ちゃんも凛君も末長く幸せになって！これからも他の小説での交信頑張ってください。応援しています。 (7月11日 0時) (レス) @page45 id: 2b870d0ab1 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - mooさん» moo様、コメントありがとうございます！原作で摂取できない分滅茶苦茶に砂糖煮詰めております(^^)楽しんで頂けたようで何よりです。ご覧頂きありがとうございます。 (6月1日 18時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 糖分過多ー！！面白かったです！ (6月1日 3時) (レス) @page45 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ルアさん» ルア様、コメントありがとうございます！大切に作ったので、そう言って頂けて作品も作者同様喜んでおります。こちらこそ、作品を応援して頂きありがとうございます！ (2023年4月19日 14時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おそらまめ
| 作成日時：2023年3月27日 18時
