【文スト】公園に佇む羊さん【中原中也】

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「はぁ？なんの冗談だよ。俺だ！中原中也だ！」

「中原中也？うーん、聞いた事ないや。人違いなんじゃないかな」

なんでだよ！絶対に人違いなんかじゃねえ！


なぜか俺の事を忘れているA。

訳が分からず、なにも声を出すことが出来ず腕を掴んだまま立ち止まってしまう。

そんな時にアイツの声がした。

「あっれー。蛞蝓じゃん」

今手前に構ってる余裕は無えんだよ。

と心の中で悪態をつく。

すると「あ、治くん！」とAがアイツの名を呼んだ。

そいつの事は覚えているのか……？

「Aさんもそこのチビも、2人して何してるの？」

「もしかしてこの子、治くんの知り合い？」

「……え？」

そこで太宰は異変に気付いたようで、目を見開いた。

「中也の事覚えてないの？」

「中也ってこの子の名前だよね。さっき教えてくれたよ。中原中也君でしょう？」

「そうだね……」

太宰は顎に手を置いて考え込む。

しかしすぐにパッと笑顔になり明るくなった。

「彼は人違いをしたようだ。確かに彼とAさんに面識は無いよ。じゃあ僕たちはここで帰るね」

「は？……おいっ！」

「やっぱり人違いだったのね。またね治くんに、中原君？」

手を振るAに振り返す事はなく、太宰に腕を引っ張られどんどん距離は空いた。

おそらくこの道のりだとポートマフィアへ戻ろうとしている。

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