源氏の兄の旦那様

何より甘い ページ5

sideA

牡蠣と言うものは好ましく無かったなぁ

不味いと言うか気持ち悪い
咄嗟に髭切に食べてもらったが、悪かったろうか

『...なぁ』

他の刀と酒を呑み交わす髭切を呼びかけると
髭切は優しく頭を撫でてくれたが...違う！

そうではない！

『おいと言うておろう。髭切..』

「なぁに」

ようやく俺の方向を見下ろした髭切

『..吐いても良かったのだぞ』

言うと、一瞬驚いた様に目を見開いたが
すぐまた何時もの笑顔を浮かべた

「大丈夫だよ..そんな事気にしないで。何時もの事だろう」

『...』

どうやら、言葉の意味がわかったらしいなぁ
..やはり...俺の伴侶の目は欺けぬ

「それより、燭台切光忠が水菓子を持って来たよ...A、好きだろう？」

『..あぁ』

「一緒に食べよう」

『あぁ..そうさな』

髭切の言葉に頷き、俺は身体を起こす
起きてようやくわかったが...弟達は潰れていた

あなや...後で部屋に送らねばならぬな
そして何故だか知らぬが主が泣いておったし
皆が少し離れていた

ふむ

『何かあったのか？』

「さぁ..キミが寝てたから退いてくれたんじゃないのかな」

『ふぅん』

燭台切光忠の運んできた水菓子に爪楊枝を刺して
口に運ぶと、上品な甘さが広がった

『いちごは旨いなぁ。なぁ髭切』

「...」

いちごを差し出して言うと
髭切の表情が微かに曇る

『...どうした』

此奴、いちごは嫌いだっただろうか..

「意地悪」

何がだ？...酒で酔っておるな此奴

「Aは意地悪」

『ほぅ』

しかしさすがの俺も面白くないぞ
たかだかいちごに何をそん.....あぁ..なるほど

いちご...なぁ

『髭切、口を開けろ』

ムスッとしてる髭切に言うと、奴は渋々と口を
開いので俺はいちごを放っていれる

「..」

むぅと眉を下げる髭切を見て内心微笑み
口付けを交わしてやった
舌を入れてやれば自ら絡めてくる

はっはっは...愛いな

『...旨かろう』

口を離し問えば髭切は目を蕩けさせ俺の胸にもたれかかってくる

『っと..』

受け止めてやると髭切は俺の胸辺りの寝巻きを
くしゃりと掴んで額を押し当ててきた

『そろそろ..戻るか』

俺はそのまま髭切を抱き上げ部屋から出る

『鶯、弟達を頼むぞ』

鶯丸「あぁ」

呆れた様に頷いた鶯を認め、襖を閉めて自分達の部屋に向かった









審「くそ甘ったるい。もういい加減にしろクソ....ラブラブですね！」

背後でそんな声を聞いた気がしたが
それより今はこの腕にいる伴侶を食らいたい為に
無視した

夫婦喧嘩→←胸焼け起きそう

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