第248話 お前はもう必要ない ページ49
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「そんな……馬鹿な……」
「楽しみにしていたのに、この程度とはな」
デザームはボールを地面に転がすと、吹雪に背を向けた。
「お前はもう必要ない」
その言葉に、吹雪は大きく目を見開き、固まってしまった。
「必要ない……？」
Aは息を呑んだ。吹雪の様子が明らかにおかしい。
「“士郎”としても必要ない……“アツヤ”としても必要ない……じゃあ………“僕”は………“俺”は………」
吹雪はぐっと拳を握りしめると、叫んだ。
「何なんだ─────ッッッ！！！！」
吹雪はその場に座り込んでしまった。
「吹雪！？」
みんなが慌てて吹雪に駆け寄り、円堂は吹雪の肩を掴んで揺さぶった。しかし、なんの返事もない。真っ青な顔で、吹雪は絶望しきった顔をしていた。
「吹雪！吹雪───！！」
「監督！」
秋は瞳子監督に呼びかけた。
「これ以上無理をさせても、吹雪くんがまた…！」
「………選手交代！」
瞳子監督が言った。
「私が出ます」
Aが立ち上がった。春奈は首を横に振った。
「でっ、でもA先輩、病み上がりで──」
「監督、お願いします」
Aが監督に頭を下げると、監督は少し考え、それから息を吐いた。
「……いいわ。それじゃあ、睦月さんと交代します」
鬼道と円堂が吹雪を運び、ベンチに座らせた。
「吹雪、ここで見ていてくれ。お前のぶんまで、俺達みんなで戦い抜く！」
「なんと、試合前半にもかかわらず吹雪が交代！ かわってFWには睦月が入ります！」
「いくぞ、みんな！」
「吹雪が抜けたから弱くなったなんて言わせねえよ！」
「任せとけ！吹雪のぶんまでやってやる！」
みんなが大きく頷いた。デザームは腕を組み、雷門イレブンを見回した。
「私を楽しませてくれるやつが、他にいればいいがな…」
試合が再開した。ボールはイプシロンからだ。
壁山、塔子の必殺技をいとも簡単に突破し、一気にゼルが攻め上がる。綱海を抜き去ったゼルの前に、土門が立ちふさがった。
「“キラースライド”！！」
土門がボールを奪い、ボールはAの方へと飛んできた。
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作者名：無名 | 作成日時：2022年10月5日 10時
