【H×H】神々の花嫁と蜘蛛の糸

糸、35本 ページ41

side HISOKA

してやられた。
レイピアを扱う受験者を殺した瞬間、釣竿でプレートを奪われた。

……成程、ボクの殺気に自分自身の殺気も載せたのか。

Aが教えたのはこれか、流石だ。良いものを教えてくれた。

そして今、目の前にいる彼に賛辞の言葉を送ると共に拳も送ってやった。
プレートを取り返しに来たと思われたが、最初からボクにはそのつもりはなかった。

だから、ボクに1発拳を入れることが出来たら受け取る事にした。

彼は悔しそうに唇を噛み締め、地面を殴る。
成長が楽しみな…青い果実。

＿＿＿＿

得点は4点分。3点はAにあげるとして、あと2点は適当に取ればいいだろう。

Aが去って行った道を辿ろう。

何となくだが胸騒ぎがする。
胸騒ぎ……悪い予感。
こういう時の悪い予感は外れて欲しいものだが、当たってしまうのだ。

第一、今現在僕の目の前に繰り広げられるのは地に臥せるAとその傍に立つ吹き矢を扱う受験者だった。


＿＿＿＿嗚呼、当たってしまった…♤


腹の底からグツグツと沸き上がる、よく分からない黒いもの。


自分が何故今、怒りを覚えているか。
………………分からない。
Aが他の誰かに倒されたからか？
………………分からない。


それは今、ボクの足元にいる男に聞けば解は出るだろうか。
384番、ボクが狙う筈だったターゲットに。
声をかけても返事はない。ただの屍だ。
プレートを取ったら、Aの所へ行かなくては。
その屍はどうせなら彼女の能力の餌にしてしまおうと担ぎ、歩く。



はやく、早く、速く


行かないと、Aが辛いだろう、苦しいだろう。



自分の焦りを知られないように、
自分の怒りを鎮めるために、



＿＿＿＿「寝てしまうのかい？」



奇術師(ピエロ)を演じてしまえ。






＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
(花嫁の為に奇術師は踊る)

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