【H×H】神々の花嫁と蜘蛛の糸

糸、10本 ページ12

＿＿＿＿まもなく、第3次試験会場に到着致します。

そんなアナウンスで目が覚めた。

窓から外を見下ろすと底には窓一つない高い塔。
窓もなければ扉もない、積石作りのシンプルな塔だった。

「A、起きてるかい？♧」

扉の前からヒソカ様が声をかける。
そっとベッドから降りて部屋の扉を開けると貼り付けた笑みを浮かべるヒソカ様に対して私の表情筋は全く動かない。

「お早う御座います、ヒソカ様。」
「ん、おはよ♡もうすぐ試験始まりそうだけど食べるかい？」

そう言って差し出してきたのはリンゴだった。ご丁寧にうさぎリンゴだ。

「…ありがとうございます、どうぞ上がってください。」

部屋に案内し、それからソファーに腰を下ろして頂いたリンゴに口を付ける。
しゃくしゃくといい音がする。

「くくっ、不用心に食べてさボクがそれに毒を盛っているとは思わないのかい？」

トランプを弄りながら、私を見やる黄金の目は蛇のような目だ。

「貴方様はそんな姑息な手は使わないでしょう。それに、私を殺しても何の意味もありませんよ。…あるとすれば、主様の戦闘能力が少し下がる程度でしょうね。」

私が死ねば、主様にかけている『主ヘノ敬拝(ハレルヤ)』が解けてしまう。
主様は元々かなりお強いだろうが、現在は私の能力で戦闘能力を高くしている。

「そうだったねぇ、くくっ…でも、君を殺してしまったら僕の楽しみが減っちゃうというのが正しい答えさ♤」

…それはヒソカ様の対象に私も入っているという事なのだろうか。
迷惑極まりない話だが、少しは私も強いと認識されていると勝手に解釈し、最後のリンゴを頬張った。

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