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会議室のエアコンと明かりを消して
ドアを閉めると、丸山さんもあきらめたのか中央の丸テーブルでPCを立ち上げ始めた。
そろそろお昼。
皆さん担当のクリニックに出かけていき、
丸山さんもパソコンを閉じて荷物をまとめ始めた。
最後に横山さんがオフィスを出て窓際の席の私と
予定表のボードの前の丸山さん。
あ、ふたりきりだ。
いつもならドキドキ嬉しいはずのシチュエーション。
でも、今日は無視なのだ。怒ってるのだ。
ちょっと早いけど仕事が片付いたしお昼にしようかな、とくるりと椅子ごと後ろを向くと目の前に回転椅子に逆さに座った丸山さんの、ふくれっ面のどアップ。
「ねぇ、ごめんってぇ」
「さあ?なんのことでしょうか」
「前に食べたときめっちゃ美味しかったからAちゃん絶対好きやと思って、一緒に食べたかってん」
「………(いやまぁ確かに美味しそうだったけど)」
「でも無神経なことしたよなぁ、ごめんなぁ?」
ハの字の眉の下に泣きそうな目。
だーかーらー!!!
そういうのがずるいんだよ!
わかってやってるでしよ絶対!
足元の営業バッグから
見覚えのある小箱を取り出すと
大きな手でその中の一つをつまんで
半分くらいを咥えた。
「いっひょにはべよ?」
そう言って、
咥えたまんまのチョコレートを
私の口に
甘いチョコレートの味と
4日ぶりの甘い唇
あれ、手作りの生チョコだったんだけど大丈夫かな
ま、いっか。
こんなに簡単に許しちゃう私は
まったくチョロい女だ。
とっくにチョコレートは溶けてしまったのに
いつまでもお互いの唇を味わって
はぁ、っと甘い香りのため息と
見つめ合った目と目。
ふふ、と笑ってしまって
もう一度目を閉・・・
「あーかーーーん!スマホがあらへーーん!!!」
横山さんの慌てた声で弾かれるように
体を離した。
横山さん・・・しっかりして・・・
(ちなみにスマホはコートのポケットに入ってました)
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ふわり∞(プロフ) - ゆうひさん!ごめんなさい、お返事が返せていませんでした。完結が先か、コロナ禍収束が先かなんて笑えないくらい遅筆でごめんなさい。続編進めていきますのでよろしくお願いします。 (2020年5月17日 19時) (レス) id: ba308280a7 (このIDを非表示/違反報告)
ふわり∞(プロフ) - 丸まるさん» ありがとうございます!続編やっと1話書けましたので公開いたしました。引き続きご覧いただけると嬉しいです。 (2020年5月17日 19時) (レス) id: ba308280a7 (このIDを非表示/違反報告)
丸まる(プロフ) - いつも、楽しく読ませてもらってます。切ない気持ちとかが細かいから、直ぐに引き込まれます。!on the sideの続きを読みたいので鍵を教えてもらっても良いでしょうか? 今後も楽しみにしてます。 (2020年5月17日 11時) (レス) id: a153ec6e2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆうひ(プロフ) - 優柔不断なマルちゃんもそれはそれで憎めなかったりするので、やはり悪い男なのかも知れない!続きが気になります!! (2019年12月25日 21時) (レス) id: 1f1151a94a (このIDを非表示/違反報告)
ふわり∞(プロフ) - えりかさん» 続きの続きはもうしばらくお待ちください!パソコン壊れてなかなか進まないのよー!スマホだと書きにくくて。 (2019年11月30日 21時) (レス) id: ba308280a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふわり∞ | 作成日時:2019年8月28日 19時