青き月光の下で2［妖怪ウォッチシャドウサイド］

66話 ページ25

ウィスパーとミッチーもジバニャンに便乗して現れ「ダブルツインキック」などといった威力のかけらもない技で対抗しようとしたが、キックをした勢いのままバクッと食べられてしまった。

そしてジバニャンも続けて食べられてしまう。
残るのは私達のみとなり、絶対絶命のピンチだ。


顔さけ女「危ねぇ！！！」

怜奈「…！」

みんなは本能のままに逃げようとするが、
怜奈はただ１人、顔さけ女と目を合わせながら立ち止まっていた。

ナツメ「怜奈ちゃん！早く逃げて！」

ナツメの声に怜奈は一瞬反応するが、怜奈は首を横に振る。

怜奈「顔さけ女は人を襲おうとしていないよ！
…だって」

するとトウマが怜奈の手を引きそのまま駆け出す。

トウマ「顔さけ女になんらかの事情があると信じてる。けど、今は逃げる方が先だよ」

怜奈「トウマくんまで…！」

手を引かれるがままに、怜奈はみんなの後に続く。
トウマはその様子を見たのか、くるっと顔を怜奈に向けて口を開く。

トウマ「…これ以上、大切な人がいなくなるのを
見たくないんだ」

怜奈「…トウマ…くん」


なんとかみんなと合流して固まりながら逃げる。
ケースケは涙目になりながら、頭を抱える。


ケースケ「なんだっけなんだっけ！！ポマートじゃなくて、トマートじゃなくて！！」


怜奈「違う違う！！それを言うなら、ポマー…

バクッ


一番後ろにいた怜奈が顔さけ女にバクッと食べられる。


ケースケ「うわぁああ！！怜奈が食べられたぁあ！！！」


続けて、ケースケやアキノリやトウマまでもが食べられてしまった。残るのはナツメただ１人。


ナツメ「キタァ！！」


追いかけてくる顔さけ女をまこうと、曲がり角を曲がる。



＊



ナツメちゃんが逃げてる。あと残っているのはナツメちゃんだけなんだ。顔さけ女の中は、どこか生暖かい。

怜奈はぎゅっと目を瞑る。


怜奈 (……あなたの本当の気持ちを教えてよ )


そっと顔さけ女の中の膜を触る。

すると、頭の中から途切れ途切れの記憶が流れ込んできた。

脳裏に浮かぶのは、アズサさんと、小さな植物の姿。

そして声が聞こえた。


？「ア…ズサ…さん」


その瞬間、パアッと光が差し気がつくと私と食べられたみんなは、地面に座り込んでいた。


ナツメ「みんな！」

怜奈「ナツメちゃん！よかったぁ…」


ホッと胸をなでおろすと、目の前に小さな妖怪が現れた。



？「あ、どうも」

怜奈「ど、どうも？」

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