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着物に着替えて普段は最低限しかせーへんお化粧もばっちり決めたりして、パパとお客様のいる応接間へとやって来た。
こんなにも全身が強張ったんは何時ぶりやろうか。自分でお客様にお茶を出すんが初めてやからか、はたまたパパのお客様にお会いするんが久しぶりやからかは分からんかった。
やっとの思いで絞り出した失礼しますの言葉は案外震えていなくて安心した。パパの入りなさいという声で私は襖に掛けた手にぐっと力を入れた。
『桜蘭組組長、東條の娘、東條 Aにございます。以後、お見知り置きを』
「ほぅ、、、とても美しい所作だ。流石東條サンの娘サンだね」
『痛み入ります』
「まあまあそう堅くならないで?どうかお顔を上げて下さい」
『えっ』
そのお客様の声に応じて頭を上げると私は目を見開いて一点を凝視してしまい、僅かながら思わず声まで漏れてしまった。
「ほら、お前も挨拶しなさい」
なんで、、、
「_____グルッペン・フューラーと、申します。お目に掛かり光栄です」
部長が此処に、、、?
「僕はフューラー家と言って、ヤクザとはまた違った"マフィア"の
「フューラー君が日本にやって来て直ぐの時にちょいと手助けをしたんが私でな。其処から親しくなって、ビジネスでも手を貸し合うようになったんや」
「そうそう!」
あ〜なるほど〜マフィアの首領ね〜はいはい
、、、いや納得出来るか!!
でもこれは私が納得出来る出来へんの問題では無いんやもんなぁ、、、
『紅茶の方が宜しかったでしょうか、、、?』
「いやいや!どうか気にしないでおくれ!僕達は日本にやって来てもう十数年になるが、一度も日本のわびさび?を体感出来る様な体験をした事が無いんだ。だから、君の着物姿を見ただけでも、今とても心が躍っているんだ!是非、お茶を頂けるかな?」
『畏まりました』
マフィアとは聞いたものの、この人はほんまにマフィアの首領なんやろうか、、、
その煌めくようなサラサラな金髪、日に焼けた事なんてなさそうな真っ白い肌、御伽噺から出てきた一国を治める王と言われても信じてしまいそうになる程のものやった。
普段は支離滅裂で五歳児の様な言動をしている部長の、謹んだ態度やいつもは眼鏡で隠れていたその吸い込まれる様な唐紅の瞳をはっきりと見たのは初めてで、そのギャップの差に風邪を引いてしまいそうやった。
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黒翠(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます!この作品に出会って下さったということに、感謝の気持ちで胸いっぱいです。お優しいコメントをありがとうございます! (2023年3月14日 0時) (レス) @page40 id: 73723415d9 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - コメント失礼します。この小説面白いです。黒翠さん、素敵な作品をありがとうございます (2023年3月13日 21時) (レス) @page39 id: e066df4934 (このIDを非表示/違反報告)
黒翠(プロフ) - リリィさん» コメントありがとうございます!嬉しい限りです!そのお言葉で更新頑張れますありがとうございます!! (2022年2月22日 0時) (レス) id: 73723415d9 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ - とても面白くて続きが楽しみです! (2022年2月21日 21時) (レス) @page6 id: 74ae9aa626 (このIDを非表示/違反報告)
黒翠(プロフ) - 露助さん» いえいえそんな!いつもコメントありがとうございます!頑張れます〜!(書いてる私自身も思ってます^^;) (2022年2月16日 22時) (レス) id: 73723415d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒翠 | 作成日時:2022年2月8日 0時