61.shk side ページ11
shk side
実の両親から虐待を受けていた俺や父親から虐待を受けていたきんときからすれば、両親や組の人達から愛されて育ったお嬢は正直羨ましかった。
だって俺達には与えられなかったものを与えられていたから。
"なあなあ！あそんでぇや！"
"きょうのおやつなぁに？"
だけどそれ以上に、此処に来て直ぐの俺達を笑顔で迎え入れてくれたお嬢は俺らにとって大切な存在になっていた。
例え親父さんとの約束が無くなってしまっても、俺の中で彼女は、守らなければならない存在へとなってしまったんだ。
でもお嬢の事を心から愛してくれた御袋さんを亡くした辛さを理解する事は、俺には出来ない。
いや、正確には頭で理解はしていても、
自分はそんな経験をした事が無いから本当に分からないんだ。
そんな俺が今のお嬢に出来る事と言えば、寄り添ってあげる事。
親の愛情ってものを痛感しているNakamuやBroooockにそう教えられた。
特にお嬢に寄り添っていたのはBroooockだった。
Broooockに関しては、彼奴も母親を病気で亡くしてるからな。愛妻家だった彼奴の父親はすぐにその後を追って逝ってしまったし、きっと自分とお嬢を重ねているんだろう。
お嬢のお母さんが亡くなってから数日経った今も、幼馴染だという隣の家の男の子、とも君に毎日遊びに誘われるも、お嬢は何処か浮かない顔をしている。
俺に何か出来る事は無いだろうか。
そうは考えるものの、物語の中の
お嬢が小学校に上がってからは、入学式、参観、運動会、色んな行事に俺達が代わる代わるで見に行っていた。流石に親父さんがあんな無防備な所に行ける訳ないからな。
俺達みたいな現役高校生がこんな所に来るとなかなかに視線が痛いし口々に俺達を指すような言葉が飛び交っているのも知っている。
『！』
後ろ指を指されている俺達、それでもお嬢は俺達の事を本当の家族のように思ってくれていて、俺達の顔を見ると嬉しそうに顔を綻ばせながら手を振ってくれる。
"シャークん！"
俺は、その笑顔を守る為ならどんな事でもやってのけられた。
嗚呼、そうか。
これが"愛"なんだ。
そう気付いた頃には、お嬢に対して過保護になっていた。
自覚はある。
でも、初めて俺に愛を教えてくれたお嬢に、
無償の愛で包み込んでくれるお嬢に、
俺は、俺達は、もう堕ちていたんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 160人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒翠(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！この作品に出会って下さったということに、感謝の気持ちで胸いっぱいです。お優しいコメントをありがとうございます！ (2023年3月14日 0時) (
レス) @page40 id: 73723415d9 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - コメント失礼します。この小説面白いです。黒翠さん、素敵な作品をありがとうございます (2023年3月13日 21時) (レス) @page39 id: e066df4934 (このIDを非表示/違反報告)
黒翠(プロフ) - リリィさん» コメントありがとうございます！嬉しい限りです！そのお言葉で更新頑張れますありがとうございます！！ (2022年2月22日 0時) (レス) id: 73723415d9 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ - とても面白くて続きが楽しみです！ (2022年2月21日 21時) (レス) @page6 id: 74ae9aa626 (このIDを非表示/違反報告)
黒翠(プロフ) - 露助さん» いえいえそんな！いつもコメントありがとうございます！頑張れます〜！(書いてる私自身も思ってます^^;) (2022年2月16日 22時) (レス) id: 73723415d9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒翠 | 作成日時：2022年2月8日 0時
