明日も君と、恋をしよう【after】

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大したこと言うわけじゃないのに
すっかり速まったままの胸で

とりあえずは深呼吸して






「ね、」

「ん？」

「テレビ付けてい？」







腕の中でくるり向く眼が

間に合わなかった肩から見上げて
ばっちり視線は合うわけで







「なんか、恥ずかしくなってきちゃった」







正直にちゃんと応えれば
ふふ、なんて細まる瞳






「いいよ、テレビ付けても」

「あー、かっこわる」

「可愛いから大丈夫」





にやり見られて熱は昇るけど

イタズラな口元に目が行っちゃって
顔ごと逸らせもしないまま






「Aのいじわる」

「ふふ、ごめんごめん」






リモコンを取りに伸ばしただけで
すぐ戻したくなっちゃう手は

ぱちり電源だけ付けて
またAのお腹に巻くから




歌い始めたバンドの声に

お笑いじゃなくてよかった、なんて
あとからちょっぴり安心感






「キツくない？」

「ん、大丈夫」





ひとつ息を吐き出してから

ちゃんと指先まで絡め取れば
もたれてくるのが可愛くて






「Aのこと、強いなって思ってた。ちゃんと先見ててさ？」

「えぇ？そんな強くはないよ」

「うん。それに今気付いた」






ん？、なんて落とされた声に

今度はちゃんと間に合った肩が
向きそうな身体を包みなおす








「んーとね、」









しようともしてなかったとか


諦めてたとかじゃなくて









「なんか、上手く言えないけどさ？」









そんな心意気みたいな

どうにかなるもんじゃなくって





どうにかなるもんじゃないから

できるわけがなかったんだ









「俺のこと格好良かったって言ってくれたの、わかった気がして」









俯く髪に顎を付けて

抱えた身体にくっつけば







「でも。……明日とか、未来とか、」







絡み取ってたままの手が

握り返してくれるから








「いいなって、ほんとに思えたのはAのおかげだし」








だからさ、って

続く声が









「Aも、格好良かったよ」









ちゃんと

真っ直ぐ落ちたはず

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