だきまくら×宅配便 ページ8
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今回ばかりは、紫耀が悪い
「紫耀も買う?」
「は、なんで?」
チラリ向くだけの視線に
やれやれな溜め息が落ちる
この不機嫌度は、面倒だ
「なんでもない」
「なくないじゃん」
「それは紫耀でしょ?」
ほら
目も合わない
「俺でいいじゃん」
「よくないって」
「なんでよ」
「きゅって抱きつけるのがいいの」
開きたての段ボールから
ビニール越しに口先を見せて
まだ出してはもらえないサメ
想定外だった、ほんと
むしろ欲しがるかと思ったのに
まさかのむくれ顔だなんて
どうすればいいっていうんだ
「Aに抱き枕とか、意味わかんない」
「欲しかったから、」
「だからそれが意味フメーなんじゃん」
拗ねるなんて可愛いもんじゃなく
普通に不機嫌へと邁進
これはもう放っとくしかない
だって
欲しいもの買っただけなのに
怒られる意味がわからない
とりあえず、出すのは諦めて
紫耀も
サメも
そのまんま
そろり抜き足で下がって
キッチンへと進める体
触らぬ紫耀に祟りなしだ
ちょっぴりお腹空いた気もするし
コーヒーでも淹れておこう
たしか
あと3枚くらい
貰い物のクッキーがあるはず
で、雑誌でも読んでよう
ケニアがいいかなぁ、なんて
戸棚からコーヒーを出して
たっぷりの水を沸かしにかかれば
ソファに飛んだ視線が撮るのは
ぐにゃりずり落ち中の紫耀で
もはや座面が背もたれ状態
まぁ
変わらず不機嫌モード
なに見てるのか知らないけど
両手でスマホ掲げちゃって
しばらくあのまんまでいいや
かわいいんだけどなぁ、あのサメ
むしろちゃんと見せてあげれば
紫耀も気に入りそうなのに
でもムリだ
置かれっぱなしの段ボールから
抱き枕のサメを取り出して
不機嫌そうにゲンナリ中の
丸めたお腹に乗せたげるとか
こんな調子じゃできっこない
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作者名:ふとん | 作成日時:2019年3月14日 18時