ふたつのいと 5

5-45 ヒールと、ソール ページ45

5-45 ヒールと、ソール





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隆二さんのすぐ横を歩く。




「映画もあるし、買い物でもいいし。…あーここ無いか、」





『何がです？』



「マノロブラニク」




『あるちゃあるんですけど…いいです、今は隆二さんと並んで歩くことの方が重要なので！』





「何？可愛いこと言っちゃって。マノロ欲しいの？」




『違いますよー！…あ！欲しいのあった！』




「なになに。さっきの可愛かったからなんでも買っちゃうよ」





『隆二さんの部屋着！うちに置いておくように！』




「は？俺の？」




『そ！俺の！です』





「俺の置いてんじゃん。」





『1着だけなんで、洗い替えようです。』





コツコツと、カスカス


ヒールとソールが地面を掠る音。





心地いい音。



カンカン鳴らす足音は嫌い。


コツコツと綺麗に歩きたい。



間違った道でも。




綺麗に歩かせて。






そしたら、本当の道に繋がると思うから。







このまま、本当に擦り変われば、真実になるから。






隆二さんの横の私は、そんなことを考えてしまいます。







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「女の子ってなんであんな高いヒールで走れるんだろね」




どこに行くも決めずにウィンドーショッピングにもならないほど、ただ歩幅を合わせて歩く。





『走れないのもありますよー。まず、ヒールで走りたく無いですけどね』





「俺は好きだけどな。なんか必死に何か頑張ってんじゃん。ほら」





隆二さんの�爐曚薛瓩量楡�の先には、高いヒールで大きな紙袋を何個も抱えた女の人が早歩きと小走りの間ぐらいで駆け抜けて行った。





『お仕事なら、かっこいいですよね』




「何？俺は好きだよ、Aがヒールコツコツ鳴らしながらあのカウンターの中走ってるの。」




『私も、それは好きです』







耳の奥で、コツコツと、コンクリートを響かせる店内の音がしました。








隆二さん、









隆二さんがそう言ってくれるなら、隆二さんが来店した時ように




バックルームに一足、マノロブラニクを置いておきますね。

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