ふたつのいと 5

5-31 魔法と、傷 ページ31

5-31 魔法と、傷






.







.







隆二さんはいつものように我が家のような振る舞い。






『あ、隆二さん、明日もお仕事ですか？』







「うん、なんで？昼からだけど…」







『明日と、明後日、お休みになって、私。』







「なんかあった？」







『レイン、改装するそうです。改装ってもキッチンとバックルームらしいんですけど』







「へぇ、そっか。じゃあ俺んち、来る？」







隆二さんは一枚、また一枚と服を脱ぎながら。








私は目のやり場に困ります。









『隆二さん、お風呂、ですか？』







「ううん、俺のジャージ知らない？どこで脱いだっけなぁ」







『寝室、ですかね』






「あ、そっか」







寝室に向かい、ジャージを着ながら戻ってきた。








「俺んちの、鍵。あげる。なくすなよー」






魔法のように隆二さんの掌から出てきた、真新しいとは言えない鍵。







「俺のキーリングに付けっ放しだったから傷まみれだけど。」







『あ、ありがとうございます…』






「それ、スペアじゃなくてマスターキーだからな。無くすなよ、絶対」






『はい、無くしません。絶対。…どうしよう、実印と一緒にしまっときます！』







「Aってさ、たまーに天然？それとも本気？」






『天然…じゃないと思います』






受け取ったキーをぎゅっと握り、実印の横に本当に置こうと考えた。





「A、鍵って、持ってなかったらはいれないんだよ？俺んち、どーやってはいんだよ」






『あ、そっか』

5-32 新しい彼と、準備→←5-30 慣れた手と、ただいま

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す