ふたつのいと 5

5-03 正々堂々と、色恋 ページ3

5-03 正々堂々と、色恋









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「家まで入るつもりなくて」





『心臓止まるかと思いました、殺されちゃうのかな？って』




「本当、ごめんなさい」






『岩ちゃんさん、レイカさん、綺麗な人ですね。』






「うん」









『私が男なら、レイカさんみたいな人、好きになると思います。』









「うん」









『でも、決めるのは隆二さんだから。正々堂々と戦いたかったぁ。』









「何？もう私が勝ってますって？やっぱ、隆二さんの前とちげーじゃん」







『ん？…岩ちゃんさんって、鋭いですね。確かに違います。今、潰れないように踏ん張ってますから。』







「は？」




『隆二さんにはもう言ってます。腹黒いから、漂白剤かけても白くならないですよって』







「…はー、なんか、わかんねー」





『私も分かんないですよ。全然』





「なんだそれ」




『なんでこんなに踏ん張ってるのかも、なんで人を好きになったりするのか。全然分かんないです。』







「あぁ…なんでだろうな。俺もずっと思ってる。なんで人は色恋に左右されてんのって。」







『岩ちゃんさんって思ってたよりいい人なんですね』





「…コーヒーぶっかけてごめん、やけど、しなかった？」






『しないですよ、ちゃんと確認してたでしょ？熱くないか。知ってますよ。』






「えっ、そこまで…」




『無意識でしょうけど、ちゃんとカップの底、触ってましたよね？』




「ごめん、ほんと」




『いいんです、謝らないでください。私も同じ立場なら、そうすると思います。』





「やりすぎたなって、……ちゃんと、あのコーヒー飲みたいなって」





『また、来てくださいよ。私、今度は黒いワイシャツ着ますから』





「んだよ、嫌味かよ」







一度鼻を触ってから、笑った岩ちゃんさんは、素敵な顔をしていました。







多分、この人とは、いい友達になれそう。






なんだか、感覚的にそう、思いました。

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