＃百五十三振り目 ページ10
・
こう着状態。
＿＿＿と言うには、あまりにも己から見えている光景が現実離れし過ぎている。
何だ、これは。
山姥切は、自分の目を疑った。
「何だ、この"数"は...」
大広間から抜け出したあと、山姥切は真っ先に外に出て、屋根の上へと上った。
高いところからの方が、何が起こっているのかがより鮮明に分かる。
圧倒された。
平原を埋め尽くすほどの、黒い波。
その一つ一つに、紅い光が爛々と灯っている。
間髪入れずに、その黒い波が時間遡行軍の大軍なのだと理解した。
こんな数、見たことがない。
これら全てを、影華は従えているのか？
＿＿＿そうだとするなら、ヤツは一体、どこまで人の道を踏み外している...。
純粋な、嫌悪感。
山姥切の眉間にしわが寄った。
時間遡行軍の兵士は、形こそ人間のような為りをしているが、どう考えても己が知る人間のそれではない。
あれは、化け物だ。
それもとびきり質の悪い、...強力かつ、邪悪な。
「...くっ」
歯噛みしても仕方がない。
頭では分かっていても、足が動かなかった。
まさしく地獄のような光景から、目が離せなかった。
「や...ば...く...」
「......」
「＿＿＿ねぇ、ねぇってば！返事してよ山姥切君！」
「ッ！？」
しばらくその場に棒立ちしていた＿＿＿と言っても、ほんの数十秒のことだろうが＿＿＿山姥切の意識を現実に引き戻したのは、必死で自分の名を呼ぶ声だった。
思わず、肩に置かれた手を払い除けた。
そのまま距離を置き、背後を振り返る。
＿＿＿黒いスーツに、茶の胸当て。
眼帯をしていない方の金眼が、疲れ切ったような色を見せながらこちらを捉えいてた。
「燭台切...！？どうした、本陣は！？」
「探したんだよ山姥切君...！もう...、僕ら...！」
「っおい！落ち着け、何があった！？」
ふらり、とよろめく人影＿＿＿燭台切光忠に駆け寄り、地に倒れ込む前にその体を支えた。
「...！」
「ごめん...、手、汚しちゃったかな...」
べちゃり、と。
彼を支えた手のひらがやけに嫌な音を立てたかと思えば、...両手が、赤黒い色に染まっている。
背中か。
斜めに刻まれた、大きな刀傷。
医療の知識はなくとも、相当のダメージを負っていることぐらいは容易に分かった。
出来るだけ傷口に触れないようにしつつ、山姥切は体勢を整えた。
「何があったか、...戻るまでに説明できるか」
「オーケー...、はは、こんな姿で申し訳ないけど、...僕で良ければね」
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＊紫苑＊(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます！続編完成しましたよ！(*^▽^*)続編の方でも楽しんでくださると嬉しいです…！(*≧∀≦*)あともう少しだけお付き合いください！よろしくお願いします！ (2020年4月3日 21時) (
レス) id: a951637298 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 続編気になるーーー頑張ってください！！！！大ファンです！ (2020年3月30日 14時) (レス) id: 54588389f1 (このIDを非表示/違反報告)
＊紫苑＊(プロフ) - ちゃらんぽらんさん» 嬉しいコメントありがとうございます...!!1人でも多くの刀剣乱舞ファンの方を伊達組沼に落とそうと画策していた次第であります（笑）楽しんで頂いているようで作者も本望です(*^▽^*)続編、ラストスパートかけていきます！あと少し、よろしくお願いします！！ (2020年3月23日 11時) (レス) id: a951637298 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃらんぽらん(プロフ) - (続)寂しさも感じます、続きを楽しみに待っております！かなり長くなってしまって申し訳ない！更新頑張ってください！！！ (2020年3月20日 13時) (レス) id: 72997b1d17 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃらんぽらん(プロフ) - 初コメ失礼します！！めっっっっっっちゃ続きが気になりすぎて夜しか眠れません((元々鶴丸だけを推してたんですが、この小説がきっかけで一気に伊達沼に堕ちました……サイコーだぜ…((続きが気になるし、早く読みたいと思う反面、伍で終わってしまうのか…という(続) (2020年3月20日 13時) (レス) id: 72997b1d17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊紫苑＊ | 作者ホームページ：http://twitter.com/wakagi116
作成日時：2019年5月10日 18時
