【刀剣乱舞】生まれ育った本丸、何かブラックにされたらしいんでちょっと行ってきます。

＃一振り目 ページ3

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「お前が１８になったら解放するという約束だ。今後こちらからは絶対に接触しないと約束しよう」

『...ありがたいです』

「だが、８年前に起きたことは全て忘れろ。母の事も審神者の事も本丸の事も、刀剣男士の事も全てだ。お前は一般市民としてこれからを生きる。いいな？」

『...分かりました』



心のこもらない、機械的なやり取り。
私と一方的に言葉を交わした男は父さんに向き直り、これからどうするかを一頻り話していた。


私との話は、もう終わったっぽいな...。
部屋にいるのも嫌なので、私はそそくさと扉を開けて退場した。


溜め息、一つ。


...あの日から、早８年。

今日は、私の１８歳の誕生日だ。
言われた当初は「８年も待つなんてもっての外だ」と憤ったものの、黙って過ごしてみれば案外短いものだった。


しかしまったく、呆れるにもほどがあるよな...。


全て忘れろ、とは片腹痛い。


私の人生の約二分の一は、本丸で過ごした思い出が詰まっている。
それを、理由もろくに教えてくれないまま政府にぶっ潰された恨みは、私の根底にしっかり根付いているというのに。


...何なら、今直接、このいけ好かない男に殴りかかってやろうかな。
どうせなら背骨でも足の骨でも肋骨でも折ってやったら、ちょっとは反省するかな？
いやいや、それじゃあまだぬるいし...。


などと、一歩間違えれば警察沙汰の危なっかしい事を考えながら一人でイライラしていると、どうやら話は終わったようだ。

ガチャリ、と音を立てて、疲れ切った様子の父さんが退室してきた。



「ごめんごめん...、待たせちゃったか」

『いいよ。私が勝手に外に出てただけだから』



肩をすくめて、私は買っておいたコーヒーを手渡した。

父さんは少しだけ驚いた顔をしてたけど、ふっ、と笑う。
プシュッ、とプルタブを開けて、揃って歩き始めた。



「お前も浅葉に似て、気配りの出来る人になったんだなぁ」

『でしょ？一応、もう１８歳なんでね。甘えていられる時期も終わったし』

「そうか...、うーん...、父さん、ちょっと寂しいんだけど」

『娘の成長は素直に喜んどいた方がいいんじゃない？もう少ししたら彼氏連れてくるかもよ』

「なに...っ？A、それはホントか！？」

『冗談に決まってるでしょ。私に彼氏なんて出来る訳ないじゃん。だって、』



だって、"あいつら"のせいで目も肥えちゃったしさ＿＿＿。

口を突いて出そうになった言葉を何とか飲み込み、誤魔化すようにコーヒーを流し込む。


...そんな娘の様子を、父は黙って見つめていた。

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