第4話 ページ4
「…ちょっと待ってよ!セカイって…住人ってなに!?」
珍しく亜美が取り乱している。…無理もないか、と私は思っていた。
マオと名乗った男の子は、質問には応えず、私と亜美をじっと眺めてきた。
その目を見ていると、目の奥になにかの感情が見えた気がした。
疑問…大きな哀しみ。そして、怒り。
それぞれの感情が重く突き刺さってくるようで。
特に怒りは強かった。これから殺されるのではないかとまで考えた。
怖い。私の頭にはそれしかなかった。
一瞬、目を瞑りそうになった。…しかし、私は泣きそうになりながら、マオの顔を見つめ返す。
足ががくがくと震えてくる。それでも、目をそらしてはいけない気がして。
―どのくらい時間がたっただろう。
少ししかたっていないかもしれない。でも私にはかなりの時間に感じられた。
「…すごい、なぁ」
空気を割ったようにマオが呟く。
「君達には、話してもいいかもしれないね。」
「…どういうこと?」
「驚かないで聞いてほしいんだけど…無理だね。…単刀直入に言うけど、ここは異世界。君達が今までいた世界とは違う場所。」
亜美は絶句していた。信じられないといった様子だ。
私もまた、よくわからない話に早くもついていけなく、無言で首をかしげた。
「…ここは危ない。とりあえず詳しい話は僕の家でするから、ついて来て」
マオが言い、歩き出す。
なにもかもわからないまま、私たちはマオについていった。
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作者名:埣空 碧(さいくう あお) | 作成日時:2013年4月20日 19時