ふしぎな世界【オリジナル】 (ページ25)

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第23話ページ25

「この程度で倒れないでよねっ！」
両手を上げて横に持っていき、十字になるポーズをとるフィラ。
「！」
周りを浮遊していた魔法の矢が、一度に私たち2人に飛んでくる。
…私だって、今までの戦いでずっと逃げてきたわけじゃない。いや逃げてたんだけど、それによって回避力はかなり上昇している。
ジャンプをしながら身体を右に捻る。ビッ、と音がして、着ているパーカーのフードが破けた。
「あっ！？私のパーカーがっ…」
ケガを負わなかったのは良かったが、気に入ってた服だったんだけど…と残念に思う。
といっても、今まででずいぶんと汚れてしまってはいるけれど。
「後で直すから集中して戦って！他を考えてたら勝てないよ」
「え、直してくれるの？だったら気にせず頑張る！」
「…女の子ってのはなんでこう服ばっか気にするのかなぁ…」
マオが声をかけてきたので返すと、不思議そうに小さく文句を言われた。マオから見る『女の子』はそこまで変なものだろうか。
私はフィラの方へ向き直ると、鎌を前へ突きだした。
横目で姉を見ると、こちらに頷きながら走りだしたところだった。手には大きめの剣を持っている。さすが怪力。
「矢を避けたのはすごいよ！でも、使ったこともない鎌で何ができるかなぁ？」
フィラが可愛らしく、鎌の先で笑う。
「それはどうかなぁ？私たちは2人いるんだよ？」
私は鎌を横へ振り回した。当然のように避けられてしまうが、左右に振り続ける。
「当たらないよ！」
そう言いながらフィラはひらひらと鎌をかわしていく。
そして、上に高くジャンプして鎌を避けた、その時に。
私は自分の身体を思い切り横に飛ばす。
フィラの後ろ、下から飛んで斬りかかる亜美がそこにいた。
「げ！？」
フィラはこの戦いで初めて、焦った声を出した。
「な、なんでこんなジャンプ力っ！？」
怪力だからかな？
慌てて身を翻すが間に合わない。フィラの小さな羽が切り落とされた。
「えっ自信あったのに！外した！」
着地した亜美が悔しがっている。普通に大ダメージだと思うけど、何が気にくわないんだ…
「…う～！あたしの羽ー！怒った！あたし怒ったよ！もう絶対許さない！」
フィラの目が赤く光る。私と亜美はその目と、目を合わせてしまった。
すぐに気づいた。身体が動かない！

『ねえ…どうして帰るの？』
誰かの声が、頭に響いてきた。