第14話 ページ15
「あれ…?お姉ちゃんっ!」
自分を探しているらしき姉を見つけて私は叫ぶ。
「おぉ、じゃああれが亜美か」
「…情報ってこんな簡単に漏れるんだね、情報屋ってすごい」
「まあな」
姉の名前まで把握しているユウは怖くも、また頼もしく思えた。
「由美!?良かったぁ、無事だったんだ!」
「心配かけてごめんね、お姉ちゃんっ」
「無事ならいいわ。今マオ呼んでくるけど、その人は誰?」
「ああ、俺はユウって言って…マオには『面白い人が来てるよ』とでも言っといてくれ」
「え、マオの知り合い?…まいっか。マオー」
亜美はそう言うとマオを呼びに走っていった。
「マオがいるなら帰れねぇな…」
ユウは頭を掻き苦笑する。
「え、面白い人ってだ…ってユウ!?久しぶり…なんでいんの!?」
やっぱり知り合いなのか、と私と亜美は顔を見合わせる。
「ユウって何者なの?」
「んー、なんていうか幼馴染?なんだけど、ちょっと事情があってさ、8年くらいほとんど話もできてないんだよ」
私の問にはマオが答えた。
「んで、何しに来たの、ユウは。由美たちのことは…もう知ってるか、君の情報力なら」
「ああ、だいたい解ってるつもりだ。何しにってのは…あー…」
ユウは言葉に詰まった。その意味がわからず私は補足する。
「私がさっき大きい化物に襲われてた時に、助けてくれたんだよ!」
「あッバカお前それ言っ…」
そう言われた瞬間、マオの顔色が変わった。
「えっ…?」
そのままマオの身体が前向きに倒れる。
「…はぁ」
諦めたようにため息をつき、ユウはマオを受け止めた。
「こいつちょっと精神イカれてっから、守るべき人を守りきれなかったって知るとぶっ倒れんだよ。あと起きた時に暴走することが多いんだけど―…いや、これはお前らにはあんまり関係ないか。」
そう言いながら、マオをおぶり始める。どっちかって言うとおぶるというより肩に担いでる感じだけど。
「相変わらずちっこくて軽ぃなぁこいつは…」
笑ってそう言うユウは、やはり悪い人ではないのだろう。
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作者名:埣空 碧(さいくう あお) | 作成日時:2013年4月20日 19時